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第8話

「く……、っは……」 必死で舌を絡めても、すぐに喘ぎで俺は舌を離してしまう。 びくびくと小さく震える身体に文川は気づいているはず。 キスの合間に俺を見つめる眼が笑いを含んでいるから。 「だいぶほぐれてきたな。そろそろ良くなってきただろ?」 喉を鳴らして笑う文川に、緩く首を横に振った。 求めたい気持ちに反するように、まだ残っている理性が無意識に羞恥から否定させた。 「へぇ。んじゃ、やめるか?」 抜き差しが速まる。 最初よりもあきらかにスムーズに動く感触。 最後の一線。 迷ってはいけないのに、怯む俺の顎をつかみあげる文川。 「やめるならいまのうちだぜ? ビビってんなら止めとけ」 優しい口調だけど、嘲るような響きがあって、俺は―――短く深呼吸をして文川の首に手をまわした。 不安や未知の体験に恐怖はあるけど、でも。 「……っ、……やめるな。抱け……よ」 抱いてくれ、と耳元で囁いた。 ふっと文川が笑う気配がして、唐突に指が引き抜かれた。 一気に三本の指がずるりと抜かれて喪失に身体が疼く。 ぽっかりと開いた後孔が満たされるのを待つようにヒクついてるきがした。 そしてベルトを緩める音が響いてくる。 そこで俺はひとつのことに気づいた。 文川は―――ちゃんと―――……。 だけど、後孔に宛がわれた硬く熱いモノに俺の心配が杞憂だと知る。 「いくぞ」 ちゃんと文川も俺に感じているんだという事実が嬉しくてたまらない。 「力抜いてろよ?」 その言葉が終わらないうちにグッと文川のモノが押し付けられ、先端がめりこんでくる。 指とは違う圧倒的な圧迫感に眉を寄せていると――― 一気に奥まで貫かれた。 「い…ッ!」 太く硬いものが俺の内側を押し広げ、突き刺さっている。 確かなその感触と痛みにに息が詰まる。 乱れる呼吸を必死で沈めようと喘いでいると、ただでさえ息苦しいのにそれを増長させるように文川が唇を塞いできた。 「…ン……んん……っ」 一気に挿入したがそのまま動かないでキスをしかけてくる。 空気を吸い込みたいのに、絡まってくる舌にそれもままならない。 熱く絡み合う舌から快感がゆっくりと回っていく。 酸素が少なすぎて、頭の中が霞むようになっていくが、それでもキスが止められない。 そして不意に俺と文川の間に挟まれるように放置されていた俺の息子に文川が触れてきた。 半勃ちになっていたソレを上下に扱きだす。 「…っ、ぁ……っ」 先端からあふれ出ていた先走りにぬるぬるになっていたソレを骨ばった文川の手が擦りあげるとそれだけで強烈な痺れに腰が浮く。 気持ちよさと、息苦しさ。 執拗に舌を舐め、吸い上げられて―――さすがにあまりにも呼吸ができなさすぎて文川の胸を叩いた。 だけど文川は口内をねっとり舐めまわしてくる。 「ン、ッ……ン……」 苦しくて文川の肩に爪を立てる。 無理だ、と逃れるように何度か首を振ると、ようやく文川が離れて行った。 朦朧とする中で空気を貪るように吸いこんで、その間も俺のモノに与えられる刺激に身体がびくびく震え―――て。 「そろそろ、馴染んだろ」 文川の声がして、その言葉の意味を考えようとした瞬間。 「ッ……! あ、っく、ン!」 それまで沈黙を守っていた俺のナカに埋まっていたソレがぐりぐりと奥をつくようにして動き始めた。

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