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第12話

「……え」 「俺のモノにするため。遠距離なんざ興味ねえからな。俺の傍から離れられないようにするためだよ」 言われた言葉の意味を理解するのにしばらくかかった。 冷たい、だけど熱い文川の眼差しに全身が疼く。 俺の下肢部にまたがっていた文川は―――俺の……が再び反応しはじめたことに気づいてニヤッと笑った。 「さっきので終わりだと思ったら間違いだぞ?」 グッと、俺の張りつめだしたモノを押さえつけてくる。 「二度と女を抱く気になれないくらい、俺以外に触れられるのもイヤになるくらい、ヤってやるよ」 妖艶、って言葉が似合う笑みを浮かべ文川は俺の唇を塞いできた。 荒々しく這いまわる舌に進んで舌を絡める。 まだたいして時間はたっていないのに、快感の予感が身体中のそこかしこから生まれてくる。 少ししてキスが終わり、俺は首筋に顔を埋めようとしていた文川を制した。 「待てよ……」 「なんで」 「……いや、だってさ。あのさ……」 キスでぼんやりする頭を必死で働かせる。 文川が俺に告げたことを全部考えて出る答え。 それは―――。 「……文川は……俺のこと好きなのか……?」 告白をした瞬間よりも激しく心臓が動いた。 俺の顔の横に手をついた文川の目を、その感情を見逃さないように見つめた。 文川は鼻で笑う。 「俺がお前を好きかって?」 「……好き……なんだろ」 離れられないように、文川以外とヤる気が起きないように。 それは全部……独占欲、だろ? 「だったら?」 「……言えよ」 「さぁ?」 「……言えよ」 「んなに聞きたいのか?」 「……聞きたいよ。俺は好きだから。……ちゃんと文川からも聞きたい」 「……」 俺は真面目に気持ちを伝えた。 なのに文川は眉を寄せると、大きなため息をついた。 「っとに、お前は……」 「……なんだよ」 好き―――じゃないのか? 期待させといて……違うとかないよな? 「まったくもって、バカめ」 「はぁ!?」 「―――くそばかめ………好きだ」 「おい! あやか……わ……」

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