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番外編第11話
そのあと、場所をベッドにかえて和己の気が済むまで離してもらえなかった。
『煽るお前が悪い』
そう言われて、手加減なしに突き上げられ続けた。
そして最後はお互い疲れ果ててベッドに沈んだ。
「……風呂…」
疲れ切った声で和己が呟く。
「………ん…。……も、朝でいい…」
「……わかった」
大量に後孔に吐き出された欲の証。
本当はちゃんと掻きだしておかなきゃいけないんだろうけど、起き上がる余力もない。
しかも散々声上げさせられたから、掠れているし。
それに和己も頷いたってことは俺と同じ状況なんだろう。
そんなになるまでスるなよ……と思いながらも、怠さの中にある心地良さに目を閉じた。
「おやすみ」
「……おやすみ」
特に抱き合うでもなくすぐ傍にいる和己に言って―――眠りの中に落ちて行こうとした。
だけど、ふと、思った。
いま一体何時なんだろうかって。
少し身体起こして壁かけのシンプルな時計を見る。
疲れきった目に映った時計は午前三時を指していた。
それからまた俺は目を閉じ―――跳ね起きた。
三時!?
頭がパニックになる。
午前三時ってことは昨日から今日に変わったということで……。
今日は―――和己の誕生日だ。
「………嘘…だろう」
小さく小さく呟いて頭を抱える。
本当は日付が変わってすぐに『おめでとう』って言いたかったんだ。
それにプレゼントだって渡したかったのに……。
忘れて行為に夢中になってたなんて最悪だ。
ため息吐き出して和己を見下ろす。
もうすでに和己は寝息をたてていた。
どうしようか、悩んだけど起こすのはしたくないし。
それに―――寝てるうちにプレゼント渡しておくのもいいかもしれない。
面と向かっては恥ずかしいし……。
そう思って俺は静かにベッドから抜け出した。
リビングに置いていたダウンジャケットのポケットからラッピングされた小箱を取り出す。
ラッピングしてもらうのも恥ずかしかったそれを持って、また静かに寝室に戻った。
和己を起こさないようにベッドにあがる。
顔を覗き込むとやっぱり寝息たてて、よく眠ってるようだった。
一安心しながらラッピングをといた箱からプレゼントを取り出す。
そして少し迷って―――左手の薬指にそれをはめた。
ぴったりはまった、指輪。
シルバーリング。
幅が広くて表面にはなんにもデザインされてないシンプルさなんだけど側面にブラックダイヤが埋め込まれてる。
裏にはベタだけど俺から和己へって英語で入れてもらった。
指輪なんて正直すごく悩んだけど、デザインに惹かれたのもあるし―――少しだけ、独占欲……っていうか。
女避け……とか考える俺って女々しいなと思いはする。
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