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3-F
「あー、美味しかった!」
「そりゃ良かった」
お腹を叩きながらいう俺と呆れながら笑う佐久間。
只今、午後0時54分。
ミックス大、かなりの量だったけど、ペロリと食べてたなぁ。
あんだけ食べたら、俺も大きくなれるかなぁ。
お昼も食べたけど、まだ一緒にいていいのかなぁ。
「何か見るもんとかある?」
「えーっと…」
ここで、何か買う物とかあれば、まだ一緒にいれ……!!
「も、もうすぐなっちゃんの誕生日だから、プレゼント買いに行きたいんだけど…」
ダメ、かな?
「え、なっちゃんの誕生日!?」
「う、うん」
良かった、一緒に買い物できそうな感じ。
「じゃあ、俺も何かプレゼントしないとな」
よ、良くない!
俺より先に、なっちゃんが佐久間からのプレゼント貰うとか!
「いやいや、いいよ!!申し訳ないし!」
慌てて断っていたら、
「アレ、モリーとみっちゃん?」
「え、ヨッシー?」
あだ名を呼ばれ、振り向くと、そこにはヨッシー。
「二人で買い物?」
佐久間と俺の顔を交互に見て聞いてきたヨッシー。
うん、休日もキラキラが飛んでる!
「あ、うん。映画観にいって、その帰りにちょっと買い物しようかと。ヨッシーは?」
「俺は、妹がもうすぐ誕生日だから、プレゼント買いに」
おっと、仲間だ!
「え、ヨッシーも!?俺も森保君と、今から妹の誕生日プレゼントみようかって言ってたとこ」
「おー、マジか!?じゃあさ、一緒に見にいかない?ってか、見にいってい?」
俺は、んー、オッケーだけど…。
「俺はいいけど…森保君は…」
「別に構わない」
オッケー……なのかな?
「良かった!ありがとう」
王子スマイルで佐久間を見るヨッシー。
…やっぱりオッケーじゃない。
「ヨッシーは、何かめぼしい物ある?」
「ん〜、妹からのリクエストはあるけど、それは親が買うからいいかなぁと思って」
「ちなみに、ヨッシーの妹さん何歳?」
「6歳」
「え、なっちゃんと1個違いだ!」
「なっちゃん?」
「うん、俺の妹"なっちゃん"って言うんだけど、今小学一年生なんだ!」
「マジで!?じゃあ、やっぱプ◯キュアとかかな?」
「んーなっちゃんはね、あんまりそういうの興味なくって。それで、何がいいかなぁーって悩んでる」
「そっかー。俺もその妹のリクエストがプリキ◯アのおもちゃで、それは親に任せるとして。別に買うのは、プリ◯ュア以外がいいかなぁと」
ヨッシーとあーでもないこーでもないと言っていたら、
「本にすれば」
と、佐久間。
ちょっと不機嫌?
「なっちゃん今海外の国に興味持ってるようだったから、地図とかでもいいし。あ、でも地図は割と高いからなぁ。まぁそれ関係の本とか」
「え、なっちゃん、海外に興味持ってんの!?」
俺よりなっちゃんの事知ってるとか、それは佐久間でも許さんゾ!
「こないだ遊んだ時、イギリスはどこにある?とかアフリカは国なの?とか言ってたから、多分興味は持ってるんじゃね?」
「確かに、最近そういう事言うなぁ…」
……佐久間よく覚えてる。
なっちゃん、ふーちゃんはお兄ちゃん失格だよ。
「吉川は妹に絵本とか読んだりしねーの?」
「寝るときにいっつも読んであげてるけど」
「じゃあ、その寝かしつけ用のか…、もしくは、来年小学校に行くから、その準備用の本とかは?」
「あ、ソレ良いね!」
みんなが好きなヨッシーの笑顔。
「方向性決まったな。本屋に行くか」
「うん」
楽しそうに頷くヨッシーを見て、面倒くさそうな顔をする佐久間。
その顔、さっきのお好み焼き屋さんで見た顔。
なんだかんだ言いつつ、結局ほっとけないときにする顔。
「三島、行くぞ」
今の佐久間は、俺の知ってる佐久間だけど、俺がいない佐久間。
俺はもう、ふたりだけの世界を知っているから。
だから、俺のいない君の世界に戻って欲しくないよ。
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