「あー、美味しかった！」 「そりゃ良かった」 お腹を叩きながらいう藤に呆れて笑ってしまった俺。 只今、午後0時54分。 満足そうな顔してっけど、あんな量でホントに足りてんのか。 ひょろっとしてんだから、もっと食っとけ。 さて、昼飯も食ったし、この後だけど…。 「何か見るもんとかある？」 「えーっと…」 まぁ、藤に見るもんなくても、俺が何か買うもんあるっていえばいいんだけど。 「も、もうすぐなっちゃんの誕生日だから、プレゼント買いに行きたいんだけど…」 「え、なっちゃんの誕生日！？」 「う、うん」 そっか。 なっちゃんにはこれからもお世話になるからなぁ。 「じゃあ、俺も何かプレゼントしないとな」 「いやいや、いいよ！！申し訳ないし！」 そんな遠慮しなくても。 高価なモノは買うつもりはねーし。 「アレ、モリーとみっちゃん？」 この声は……。 「え、ヨッシー？」 ……吉川。 「二人で買い物？」 そうだよ、だから邪魔するな。 「あ、うん。映画観にいって、その帰りにちょっと買い物しようかと。ヨッシーは？」 って、吉川に話を振るな藤。 「俺は、妹がもうすぐ誕生日だから、プレゼント買いに」 オイ、待て……。 「え、ヨッシーも！？俺も森保君と、今から妹の誕生日プレゼントみようかって言ってたとこ」 藤、ソレを言ったら…。 「おー、マジか！？じゃあさ、一緒に見にいかない？ってか、見にいってい？」 ……そうなるわな。 「俺はいいけど…森保君は…」 あーあ、コレで今日のデートは終わりだな。 「別に構わない」 「良かった！ありがとう」 良くねーわ！！ 俺は、その王子スマイルに誤魔化されねーからな！ 「ヨッシーは、何かめぼしい物ある？」 「ん〜、妹からのリクエストはあるけど、それは親が買うからいいかなぁと思って」 「ちなみに、ヨッシーの妹さん何歳？」 「６歳」 「え、なっちゃんと１個違いだ！」 「なっちゃん？」 「うん、俺の妹"なっちゃん"って言うんだけど、今小学一年生なんだ！」 「マジで！？じゃあ、やっぱプ◯キュアとかかな？」 「んーなっちゃんはね、あんまりそういうの興味なくって。それで、何がいいかなぁーって悩んでる」 「そっかー。俺もその妹のリクエストがプリキ◯アのおもちゃで、それは親に任せるとして。別に買うのは、プリ◯ュア以外がいいかなぁと」 案の定、俺は蚊帳の外ですか。 それは、少々、いや、だいぶ気にくわないな。 「本にすれば」 さっさとこの仲良しタイムを終らす。 「なっちゃん今海外の国に興味持ってるようだったから、地図とかでもいいし。あ、でも地図は割と高いからなぁ。まぁそれ関係の本とか」 「え、なっちゃん、海外に興味持ってんの！？」 「こないだ遊んだ時、イギリスはどこにある？とかアフリカは国なの？とか言ってたから、多分興味は持ってるんじゃね？」 「確かに、最近そういう事言うなぁ…」 「吉川は妹に絵本とか読んだりしねーの？」 「寝るときにいっつも読んであげてるけど」 「じゃあ、その寝かしつけ用のか…、もしくは、来年小学校に行くから、その準備用の本とかは？」 「あ、ソレ良いね！」 「方向性決まったな。本屋に行くか」 「うん」 ったく…吉川、オマエが喜ぶな！ 「三島、行くぞ」 あぁ、早くふたりだけの世界に戻りたい。