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5-F

「コレ、うまーい!!みっちゃんも飲む?」 「いや、いいよ」 「じゃあ、モリーは?」 「俺もいいわ」 「ふたりとも、つれないなー」 新作を勧めるヨッシーとそれを断る佐久間と俺。 只今、午後2時27分。 向かいに座る佐久間に、俺はどう見えてるんだろうか。 「そういえば、今日映画見たって言ってたけど、何の映画?」 ス◯バの新作を飲みつつ聞いてきたヨッシー。 「えーっと…」 カバンからパンフを取り出す。 「あー!コレ、トミーの最新作じゃん!」 「ヨッシーこの監督知ってんの?」 「うん。俺、トミーの作品ちょー好き!前作も、流石トミーって思ったよ。みっちゃんは、前作も観た?」 「うん。トミーの作品は、一応全部見てるよ」 「マジか!?トミーファンがこんな近くにいたなんて!世の中狭いなー」 「言い過ぎだよ!」 でも、トミーファンってことは、ヨッシーも映画好きなんだ。 「モリーは?」 「俺は今日初めて観た」 不機嫌そうな佐久間。 「で、どうだったどうだった」 「腑に落ちなかった」 お昼のときは、分からないと言いつつ楽しそうに見えたけど…。 やっぱり、映画、つまんなかったのかなぁ。 「そっか、今回もそんな感じなんだね。トミーの作品って賛否が真っ二つだからなぁ。でも、他の作品観たら、結構変わるよ?なー、みっちゃん」 嫌いでも、一緒に話したいなぁ。 「うん。4作目とかオススメだよ」 「主人公が紫のやつ!?」 「そうソレ!」 「確かに!アレはオススメだね!」 ヨッシーとの映画談をしつつも、佐久間が気になって仕方がない。 つまらなそうにラテを飲む。 ……。 あ、飲み干した。 つまらなそうな横顔。 ……。 あ、あれは………さっきの子に貰った飴。 俺の前で、そんなサラッと食べないでよ…。 ん?ちょっとビックリ顔の佐久間? 飴の包み紙を見ると、…しゅわしゅわする飴だ。 あ、それでビックリしたのか。 そんな佐久間を見て、ちょっとスカッとした。

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