10 / 14
5-F
「コレ、うまーい!!みっちゃんも飲む?」
「いや、いいよ」
「じゃあ、モリーは?」
「俺もいいわ」
「ふたりとも、つれないなー」
新作を勧めるヨッシーとそれを断る佐久間と俺。
只今、午後2時27分。
向かいに座る佐久間に、俺はどう見えてるんだろうか。
「そういえば、今日映画見たって言ってたけど、何の映画?」
ス◯バの新作を飲みつつ聞いてきたヨッシー。
「えーっと…」
カバンからパンフを取り出す。
「あー!コレ、トミーの最新作じゃん!」
「ヨッシーこの監督知ってんの?」
「うん。俺、トミーの作品ちょー好き!前作も、流石トミーって思ったよ。みっちゃんは、前作も観た?」
「うん。トミーの作品は、一応全部見てるよ」
「マジか!?トミーファンがこんな近くにいたなんて!世の中狭いなー」
「言い過ぎだよ!」
でも、トミーファンってことは、ヨッシーも映画好きなんだ。
「モリーは?」
「俺は今日初めて観た」
不機嫌そうな佐久間。
「で、どうだったどうだった」
「腑に落ちなかった」
お昼のときは、分からないと言いつつ楽しそうに見えたけど…。
やっぱり、映画、つまんなかったのかなぁ。
「そっか、今回もそんな感じなんだね。トミーの作品って賛否が真っ二つだからなぁ。でも、他の作品観たら、結構変わるよ?なー、みっちゃん」
嫌いでも、一緒に話したいなぁ。
「うん。4作目とかオススメだよ」
「主人公が紫のやつ!?」
「そうソレ!」
「確かに!アレはオススメだね!」
ヨッシーとの映画談をしつつも、佐久間が気になって仕方がない。
つまらなそうにラテを飲む。
……。
あ、飲み干した。
つまらなそうな横顔。
……。
あ、あれは………さっきの子に貰った飴。
俺の前で、そんなサラッと食べないでよ…。
ん?ちょっとビックリ顔の佐久間?
飴の包み紙を見ると、…しゅわしゅわする飴だ。
あ、それでビックリしたのか。
そんな佐久間を見て、ちょっとスカッとした。
ともだちにシェアしよう!