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チョコアイスにお願い ④アキヒコ

「いい加減にしないと、本当に嫌われますよ?」 素直じゃない横顔に話しかければ辛辣な言葉が返ってくる。 ーー可愛い人 もっと上手くやればあの二人の間に割り込むなんて きっと簡単なことなのに。 「会長のキラースマイルで落ちない野郎いないでしょ?」 付き合えと誘われたのは近くのコンビニで それさえもほんとは別の誰かの代わりかもしれない。 いや、実際そうなんだけれども…… それでも それでもやっぱり二人きりの夜は特別で だからその時間を一秒でも引き延ばしたくて 前を歩く背中にどうもいい事を僕はしゃべり続けていた。 「はっ?野郎なんか落ちてきたって意味ないでしょ っていうか、同じセリフ返してもいいかな?」 「ははは……」 「訳のわかんないこと言い出しといて笑ってごまかさないでくれる?」 振り向いて僕を睨みつける瞳。 その瞳に劣情を覚えて慌てて目を逸らす。 「言っちゃえばいいんですよ」 ーー好きだって 「それで?誰か幸せになるの?」 「……」 「アイツが見てるのはハルだけだって分かってるだろ?」 普段はクールなフユトさんの声が 「ハル?」と呼ぶ時だけわずかに甘くなること。 その意味を。 多分……気付いてないのはハル先輩だけで。 だけど…… ーー好きなんでしょ? 嫌われてしまいたい……と思うくらいに。 ーー泣けばいいのに。 そして ーー落ちてしまえばいいよ……僕に。 そしたら アイツになんかに一ミクロンの未練も残らないくらい愛してあげる。 ふざけながら抱きつくのはいつも後ろからだって 貴方はそんなこと気付きもしない。 だって貴方が泣きそうになりながらも真っ直ぐに見つめるのは幸せそうなあの二人。 「コンビニで何買うんですか?」 「猫缶。君は?何か買う?」 「……」 ハート形のチョコアイス。 一緒に食べたら恋が叶うって バカにしながらも箱を開ける瞬間にいつだって貴方を想い浮かべてた。 もしも コンビニのショーケースに例のチョコアイスが並んでいたら。 そしたら 「ねえ、何、ニヤついてるの?ほんと、気持ち悪いよね、君って」 その可愛いしかめっ面を今度こそ ーー正面から抱きしめてもいいですか? 自動ドアの向こう側。 チョコアイスに…お願い。

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