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「俺、温泉もそんな興味ねーし」 「まぁまぁ、笠原、晩ごはんまでまだ時間あるし、せっかくだから露天風呂行こうよ?」 「……ん」 「俺もー!俺も行く行く!」 浴衣ではなく作務衣を持って露天風呂に向かった三人。 ぎゃーすか小学生並みにはしゃぐ加賀見に笠原は始終げんなり、紙屋は眼鏡を拭きつつ温泉を満喫し、サウナや水風呂も一通り体験して、大浴場の次はお土産コーナーをぶらぶら。 部屋に戻る途中で女子大生と思しきグループと擦れ違った。 きゃあきゃあしている生足年上女子らに加賀見は興味津々、笠原はそっぽを向き、紙屋は俯きがちにまた眼鏡をフキフキ、そうして擦れ違った後に。 「紙屋に似てた」 「え?」 「は?誰が?どれが?」 「髪ショートで顔ちっちゃくてかわいかった人」 「何の話?」 「俺はホモAVに出てくる目つき悪い男優似で、紙屋は女子大生似? なんか腹立つッ」 「あの男優さんって実は笠原じゃなかったの? バイトしてるのかと思ってた~」 「変態ッッ!」 「廊下でやめようよ、二人とも」 晩ごはんは大ホールでバイキング形式だった。 一時間くらいかけて好きなものを好きなだけ食べきって部屋に戻った三人。 「おいしかったね」 もちろん紙屋も笠原と加賀見の部屋にやってきた。 夜八時前、テレビをつければ……夏を先取り、恐怖心霊番組放送中。 「このシリーズ、本当に怖いやつだ」 「あ~紙屋ってホラーとか好きだよな」 ぶっちゃけホラーやグロ系が苦手な笠原は内心「げ!」と悲鳴を上げていたのだが。 「笠原、怖いの苦手だったよね?」 「えっあっ」 「変えようか?」 「笠原ビビリだもんね、夜寝れなくなっちゃう? トイレ行けなくなっちゃう?」 加賀見にニヤニヤされて笠原は「苦手なだけだし、信じてねーし、見たいなら見ればいーんじゃね?」と強がりを。 結果、二時間枠の苦手ホラーを鑑賞する羽目になってしまった。 「そろそろ戻ろうかな」 やがて紙屋は部屋に戻って加賀見と二人きりに。 「俺、もっかいお風呂行ってこよっと」 「え!?」 「? 笠原も行く? もしかして一人になるのガチで怖いとか?」 またニヤニヤしやがった加賀見にイラついて部屋から叩き出した笠原。 一人きりになった。 しーーーーーーーーーん 騒がしい加賀見がいなくなると静けさが急に際立ち、とりあえずトイレや浴室やドア前のライトを全てつけ、鏡を直視しないよう室内を横切った笠原はベッドに座り込んだ。 三十分過ぎてもなかなか加賀見は戻ってこない。 紙屋の部屋に移動してもいいのだが、そこにあるカードキーを持って自分が退室すると加賀見が締め出される。 まぁ、返答がなく無人だとわかれば、おばかな加賀見でも笠原が紙屋のところにいるんだろうと察しはつくだろうが。 廊下を移動するのが怖い。 おばけに見つかりそうで。 あーもー、やっぱ見なきゃよかった……紙屋の奴「次の放送も楽しみだね」とか言ってたな、どーいう神経してんだ、加賀見なんか「これガチ過ぎてうける~」とか抜かしやがって、あの変態、むかつく。 ……あいつどんだけ風呂入ってんだよ、もう一時間経つんじゃねーの? ……まさか、おばけに攫われたんじゃ、(コンコン)、ッッッ!! ドアをノックされて笠原はビクゥゥゥッと過剰に震え上がった。 お、おばけきた。 一瞬、恐怖に囚われて凍りついた彼だったが、ドアの向こうから聞こえてきた呼び声にその双眸を大きく見張らせた。 「笠原? いる?」

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