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11-いけいけおせおせ!お宅訪問!

「渉さん、あれっ! おいしそ!」 「熱々スープたっぷり生小龍包?」 「あれも食べたい!」 「生栗モンブラン?」 「あれもー!」 「生春巻き?」 快晴の土曜日。 渉と加賀見は<全国グルメ選り取り見取りフェス>なるイベントに来ていた。 会場は街外れにある公園施設、バラエティ番組に取り上げられたこともある有名店も出店していて、ずらりと立ち並ぶブース、行き交う人、人、人、たまに小型犬。 「この一口ギョーザうますぎ!」 ずっと食べ続けている加賀見が私服でいるのに対し、半ドンだった渉はワイシャツを腕捲りしてネクタイを締めていた。 「あちち」 そんなに熱くないはずのミニぶたまんを慎重に食べている。 「次、甘いの食べたいなー」 スッキリめ半袖シャツにポップなブロックチェック柄のハーフパンツ、サンダルを履いた加賀見。 「加賀見君、何でも食べるんだね」 「うん! 俺、甘いのもしょっぱいのも何でも好きっ」 渉の脳内で恒例の「いろいろいっぱい食べてるきみ~♪」が流れ出した。 <次の土曜日会えませんか?ヽ(´▽`)ノ> 普段のメールではタメ語を使用、誘うときは丁寧語になる加賀見にLINEで誘われて。 お昼からなら大丈夫、数時間前のメッセージに渉が返信を打つと、すぐに既読がついて。 <やったーーーー!!!!(* ^)(^ *) > その返信を見た瞬間、不覚にも渉はド赤面してしまった。 キスしてる顔文字を見ただけで動揺するなんて、本当、何というか。 遅れてるというか。 ……初心というか。 タイミングよく空いたベンチに並んで座って一休み、隣でペットボトルのお茶をグビグビ飲んでいる加賀見に渉は小さく笑った。 お昼に会うのは初めてだ。 学校がなくて、いっぱい眠れたのかな、いつも以上に元気な感じがする。 今日を楽しみにしていて、張り切って朝食を抜いてきたって、それで会ったときにお腹をグーグー鳴らしていて。 『どーしよー歩く度にお腹鳴っちゃう』 つい笑ってしまった。 同時に、飾り気のない自然体にいつも惹きつけられた。 「ねーねー渉さん」 「うん? 次は何食べたい?」 出店している店舗をチラシで確認している渉に加賀見は言う。 「渉さんち行きたい」 チラシから隣へ視線を向ければ。 頬に刻みネギをくっつけた男子高校生が満面の笑顔を浮かべていた。 「ぷっ」 渉はやっぱり笑ってしまった。

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