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9-いけいけおせおせ!加・賀・見!

二学期始業式を明日に控えた高校二年生の加賀見は意気消沈していた。 『加賀見、お前さ、どっちがいい?』 高校入学当初から同じカ行で親しくしていた笠原に二択を迫られた。 『これからも紙屋にちょっかい出すつもりならこの場で即絶縁』 『えっ!』 『もうちょっかい出さねぇっていうんなら清い友達関係、継続』 『笠原、そんな上からな言い方、加賀見に悪いよ』 笠原の隣にいた紙屋は眼鏡をかけ直すと、すまなさそうに笑いかけてきた。 『俺ね、加賀見みたいなゲス人間になりたくないんだ』 ガーーーーーーーーーーーン あーでもあれか、確かに俺ってゲス人間だった。 好き好き同士の紙屋と笠原の間に強引に割り込んで、紙屋のことパコって、笠原だって童貞卒業パコったし、でも俺だって二人にパコられたんですけど、ずっとパコパコ3パコパコ、合わせてパコパコ6パコパコ……。 あれ、もしかして俺って……もはや人間じゃあない……? 人間っていうより……交尾にしか目がない二足歩行の動物……? 夏休み最終日、夕方の公園のベンチに一人座った加賀見、一人めそめそ、自分の前世はきっと種馬だったに違いないと性欲旺盛な性格を非科学的なものになすりつけていたら。 「zzz……」 いつの間にか居眠りしていた。 半袖ハーパンで蚊に刺され放題、それでもベンチにごろんと横になって、すっかり日が落ちて暗くなった公園でぐーぐーすやすや寝ていたら。 「おーい。大丈夫?」 ベンチでアホ感丸出しで寝ている男子高校生に歩み寄ってきた者がいた。 「具合悪いの? 大丈夫?」

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