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どどどどどどど、どうしよ!!!!
ほんとに来た来た、来やがった!!
こうも簡単に再会が叶うとは、あまりの運命楽勝ぶりに気が動転して固まって声が出てこない加賀見。
挙動不審な男子高校生と向かい合って、渉は、はっとした。
「あ……ごめんね」
「ぅはいっっ?」
「何だか馴れ馴れしかった……かな、別に友達でもないのに声かけて」
淋しげな笑顔を浮かべた渉がその場から去ろうとしたので加賀見は咄嗟に動いた。
「あっっのっっ!! 昨日はありがとうございました!!」
腕時計をしていない方の手首をぱしっと両手で掴んでその場に渉を繋ぎ止めた。
「ちゃちゃっちゃんとお礼がしたくて! これ! 受け取って下さい!」
やたら大声でそう述べて、飲みかけのペットボトルを、渉に差し出した……。
「最上級のバカか、お前」
「でもすごくない? なかなかな進展だと思うよ」
朝、登校するなり待ち構えていた加賀見に話を聞かされて笠原と紙屋は目を見張らせた。
「今西さんっ今西渉さんっ二十四歳っ」
「へぇ」
「俺より背は低いよ? ちょっとだけど」
「メールとか交換した?」
「でへへへへ。ちゅーしちゃった!!」
「「は?」」
「ま、さか……加賀見、また無理矢理、強引に……ほぼ初対面の人相手に……」
「ありえんし……え、その公園ってハッテンバってやつ?」
「はってんば? それなーに? 八点場?」
「イライラする……ちゃんと話してくれない、加賀見?」
真顔の二人を前にしてデレ顔な加賀見、昨日の回想にこれでもかと相好を崩した……。
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