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「そーいうにおいがする」 うそ。 どうしよう。 ど、ど、どうしようーーーーーー!! デリカシー皆無な加賀見に問いかけられて渉は顔面まっかっかに、頭の天辺から足先までカチンコチン、肯定も否定もできずに凍りついた。 どっくんどっくん、やたらすぐそばで聞こえる心音。 喉が一気にからっからに乾いて、酸素が頭にうまく回らず、こめかみ付近にツーンと鳴り響く耳鳴り……。 「渉さん」 ソファで見る間にカチンコチンと化して静かにてんぱっている渉に加賀見は目をぱちくりさせた。 「大丈夫?」 ぴょんっとベッドから立ち上がると。 一人掛けソファに座る渉の隣へ。 咄嗟に顔を逸らした渉の真横、狭いスペースにぐいぐいぐいぐい、満員電車でもそんな客滅多にいねぇよレベルの厚かましさで割り込んで強引に腰を落としてきた。 「ごめんね、歩さん、恥ずかしかった?」 「……」 「俺、にーちゃんと家でそーいうこと言い合ってるから、そーいうノリで聞いちゃった」 きっつきつになった世にも窮屈な一人掛けソファ。 嫌でも加賀見と触れ合う、体温が重なり合う。 「……せ、狭いよ、加賀見君」 「俺はこの間の週末からずっとシてるよ」 な、何てこと言い出すんだろう、加賀見君。 「ここで渉さんとシたこと思い出して、いっぱい、シた」 シ、シてないよ、別に、ただ加賀見君の……握っただけだよ? 「渉さんも思い出した?」 窮屈感から逃れたく肘掛上に食み出ていた渉の背中に加賀見は抱きついた。 必死で俯いている年上青年の背中に頬擦りし、しっかりぎゅっとホールドする。 「か、加賀見く……」 急く鼓動に声が上擦りそうになってうまく喋れない。 ついさっき一人で達したばかりのソファで加賀見に抱きつかれて、もう、どうしたらいいのか。 「あッ」 加賀見の片手がソコに届いて渉はビクリと震えた。

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