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13-いけいけおせおせ!放課後むふふ!
毎日毎日こんなに爛れた時間を過ごしていいのだろうかと退社後の渉は思う。
「かっ、加賀見君、待って……!」
定時の六時に仕事を終えて帰宅した。
待ち合わせしていた加賀見と途中で落ち合って、部屋に招いて、それから始まる、
「待てない、渉さん」
十代多感な高校生とめくるめく濃厚オフタイム。
人一倍性欲旺盛な加賀見にガツガツのしかかられる……。
その数時間前、加賀見はハンバーガー屋のカウンターに注文のため並んでいた。
前には近隣にある女子高の制服を着た女子が二人、カウンターにつんのめり気味になってメニューを覗き込んでいる、うん、ばっちりパンチラしている。
真後ろに並ぶ加賀見が潔いくらいの堂々ぶりでガン見していたら隣に並んでいた友達に注意された。
「加賀見、見過ぎだよ」
黒縁眼鏡をかけたしっかり者ひとりっこの紙屋。
「見てるお前も見せてる相手もキモ、完全ヒくわ」
目つきと口と態度が悪い、教室では嫌われな笠原。
注文を終えた三人はほぼ定位置になっているテーブルについた。
運ばれてきた品を一番早くに平らげた加賀見は向かい側でまだモグモグしている二人に自信満々に言う。
「どっちも黒だった!」
「……よくできました、えらいね、加賀見」
「……絶品チーズがまずくなるようなこと言うな、ばかがみ」
一時間くらい他愛ないおしゃべりをしていたら時刻は五時を過ぎ、紙屋と笠原が腰を上げて帰ろうとすれば。
「もうちょっと待って~~! 渉さんが仕事終わるの、まだだよ~~!」
制服の裾を掴んで引き留めてきた加賀見に二人は揃ってため息をついた。
「加賀見、小学校二年生ならまだしも、もう高校二年生なんだから。一人で待つことくらいできるよね」
「できないでちゅ!」
「お前の待ち時間になんでいちいち付き合わなくちゃなんねーの」
「一人さみしい!」
カ行トリオの中でぐんぐん成長し、今や一番腕力があってサイズがでかい加賀見は紙屋と笠原を一纏めにして腰付近に抱きつき、恥ずかしくてしゃーない二人はまた渋々腰を下ろした。
最近、いつもこんな調子だ。
おばかでうざったい加賀見に流されてしまう。
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