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14-いけいけおせおせ!同窓会張り込み!
土曜日、夜六時五十分、週末で賑わうアーケード街の一角にある焼き鳥屋で。
「お疲れ様、今日は呼んでくれてありがとう」
開始時間が七時に指定されていた高三のクラス同窓会にきっちり十分前に渉はやってきた。
個室のお座敷にはすでに幹事と数人の元同級生がいて、まだ参加メンバーが集合していないにも関わらず懐かしい再会に話は弾んだ。
「今日、何人来るんだっけ?」
「えっと、二十二人、結構集まったよなー」
幹事と他のメンバーが交わしていた会話に渉はさり気なく参加した。
彼も来るのかと確認してみた。
「あ、来る来る。でも遅れるかもって、今日仕事らしくて」
「……そうなんだ」
彼と会うのは高校を卒業して以来だ。
秘かに片思いしていたクラスメート。
放送部で、国語の音読が滑らかで、教科書を片手に抱いた立ち姿がよく様になっていた……。
「久し振りー! みんな変わってないね!」
次々とやってくるかつての同級生達を笑顔で迎えつつ、渉は、胸の奥に湧き上がる仄かな緊張感を秘かに持て余す……。
一方、焼き鳥屋の向かい側にある全国チェーンのカフェでは。
「あーーー! 今の、もしかして今のがそうかも!」
念のため変装がてらにキャップをかぶった加賀見が窓際の二階席から焼き鳥屋に入っていく客を念入りにチェックしていた。
「今の、どう見ても五十代のオジサンだったよ、加賀見」
「今西って人、まだ二十四歳だろ、ブァーカ」
向かい側に座った紙屋と笠原はクッキーやらドーナツを甘い飲み物と味わいつつ揃ってため息をついた。
当然、無理矢理連れてこられた二人。
渉がかつて片想いしていた相手と同窓会で再会することを本人から聞き、加賀見は居ても立ってもいられなくなった。
二人を巻き込んで見張り続ける気満々だった。
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