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『今度の週末、高校のクラス同窓会があるんだ』 『それってもしかして好きだった人来るの!?』 『……うん、来るみたい』 だって渉さんが好きだった人に同窓会で会うって言うから。 俺、じっとしてらんなくて。 何かあったらどうしよって。 「何かって……今西さんとその人の間に?」 「てめぇなー、それ、今西って人に失礼じゃねーの」 「加賀見は今西さんを信用してないんだね」 「わざわざ本人が教えてくれたっていうのにな、このゲスチンヤロー、しょーもな。つーか甘いの食べ飽きた。せっかくだからそこの焼き鳥買ってこいよ、ゲスチン変態ヤロー」 笠原の言葉に加賀見は目を見開かせた。 「そうだ、その手があった、みたいな顔しないでくれる、加賀見」 「その手があったーーーー!! 俺今から行ってくる!!」 「だーーーーッやめろバカガミッ」 マジで焼き鳥屋へ向かおうとした加賀見を二人は慌てて引き留めた。 「今西さんに嫌われるよ?」 「つーかマジで何がしたいの、お前」 もしも渉さんが、その人と久し振りに会って、またその人のことを好きになったら。 そう思うと不安で不安で。 家でテレビ見てゴロゴロしてごはん食べてる間に、もしも二人が……。 『本当はね、好きだったんだ……え……っそんな、今、僕には……加賀見君っていうコが……あ、だめ……いきなり……こんなこと……いやっ……あ……ン』 「あーーーーッどうしよーーーーッ不安でたまんないのに勃起す、むぐッッ!」 紙屋と笠原は窒息させる勢いで加賀見の口を塞いだ。 周囲の客から注目を浴び、ほんとにこいつあほ過ぎると呆れつつ、友達の不安がまぁわからないこともないわけで。 「確かに不安ではあるか」 「まーな」 向かい側でメソメソする加賀見に肩を竦めつつ、お願いだから勃起すんなと願うのだった。

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