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15-いけいけおせおせ!いけいけおせおせ!
ドアを閉めて、鍵をかけようとした、そんな短い数秒間も待てずに。
「ッ……!!」
加賀見は渉にキスした。
自分より細い両腕をぎゅっと掴んで後ろのドアに押しつけ、我慢できなくて盛った動物みたいに、アルコールで水分が飛んでいた唇にぶちゅぶちゅぶちゅぶちゅ……。
「んんん……ッこ、ら……っ加賀見くん……ッ」
ほんの一瞬、息継ぎのため加賀見が離れた隙に、渉は眉根を寄せて小声で注意した。
「びっくりするから……こんなの、駄目」
「う~~~」
本当に「待て」された犬みたいにいじけて唸った加賀見に目を見張らせた。
「俺ぇ……バスの中で勃起しちゃいそうで……大変だった」
「う、うん……ていうか、ちょっと……だったよね……?」
「マックスじゃないもん」
まだ明かりも点けていない玄関、何とか後ろ手でドアをロックした渉は愛しげに苦笑した。
「渉さぁん」
スリスリ、人懐っこいワンコみたいに頬擦りしてきた高校生につい声を立てて笑う。
「ほんとに今日食べていーい……?」
そんな言葉を耳元で囁かれてビクっとしてしまう。
「あ、今、ビクってした」
「……加賀見君……ちょっと離れて?」
「やだ」
「……ほら、こういうのは……ちゃんとしないと。一端、離れよう?」
加賀見は渉の言う通り渋々離れた。
ずれていたキャップをちゃんと元に戻してやり、渉は、唐突なキスにより濡れそぼった唇を薄闇に艶めかせて深呼吸した。
「ふぅ」
何だろうと不思議そうにしている加賀見を眼鏡のレンズ越しにじっと見上げる。
生まれて初めて口にする言葉を年下の彼に捧げる。
「僕と付き合ってください、加賀見君」
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