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16-いけいけおせおせ!あまあま大晦日!

「買い忘れたモノ、他になかったかな」 師走最終日の夕方、たくさんの客で賑わう地域密着型スーパーマーケット。 買い物カゴを普段以上の品で埋めた渉は手書きメモを確認した。 コートを着込んでマフラーをしっかり巻いた彼は二十四歳、大学事務員で一人暮らし、眼鏡をかけた黒髪好青年だ。 「そうだ、ブリのこと忘れてた」 明日のお雑煮に入れるブリの切り身を購入しようと、鮮魚コーナーに向かいかけた渉の背中に、不審者ばりにぴったりくっついてきたのは。 「渉さん、これも!!」 お菓子を手にした高校二年生、キャメル色のキルティングジャケットを羽織った、あほあほ男子の加賀見だ。 まるでこどもみたいな振舞に渉もつられてふふっと笑う。 「一つでいいの?」 「うん! いろいろ迷ったけどコレがいい!」 社会人と高校生で七歳差の二人は恋人同士だ。 「明日のお雑煮、お餅とブリと白菜、入れる予定なんだけど。加賀見君はそれでよかった?」 「俺なんでも食べるよ! なんでも好きだから!」 「だけど。本当によかったのかな」 「ほえ?」 「ご家族の方は君と一緒に大晦日を過ごしたかったんじゃないのかな」 混み合う店内、なるべく人にぶつからないよう前を進む渉、渉の隣をワンコのようについていく加賀見。 「かーちゃん、めちゃくちゃ喜んでた」 「本当?」 「兄ちゃんだってカウントダウンでいないし。お前にも年末年始を一緒に過ごせる相手ができたのねって」 「そうなんだ」 「それから避妊は男の義務だって」 「加賀見君ッ!」

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