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加賀見君、中身は全く変わりなくこどもっぽいままだけど。 「寒い~寒い~」 外見はこの短い間にすごく男っぽくなった気がする。 風が吹き荒ぶ歩道橋を並んで上りながら渉は横を行く加賀見をちらっと見上げた。 この短期間に男子高校生の身長が伸びたおかげで前よりもちょこっと増した身長差。 骨格も男らしくなったというか。 幼い丸みの残っていた横顔が大分シャープになった。 最近は寒さのため丸められがちな背中をもっと姿勢よくピンと伸ばし、元は女子受けのいい顔立ちなのだから普段ふやけている表情をキリッと引き締めれば、印象が随分と変わりそうなものだが。 「息白い~息白い~」 如何せん中身がこうなので宝の持ち腐れというか。 「僕が持とうか?」 ぱんぱんになったスーパーのレジ袋、レストランに注文していた二人用の洋風おせちが入った紙袋を両手に提げた加賀見は首を左右にブンブン振った。 交通量の多い通りを跨ぐ歩道橋を渡り切って、みるみる暗くなっていく夕暮れの帰り道、仲よく並んで歩き続けた二人。 渉が暮らすマンションに到着する頃にはすっかり日が落ちて辺りは宵闇に覆い尽くされていた。 「もう真っ暗だね」 「紅白始まっちゃう」 「え、ほんとに? ちょっと待っててね」 急げば手元はたいてい狂う。 しかも寒さでかじかんだ指先、渉は玄関ドアのロックを外そうとして鍵を足元に落としてしまった。 「ごめんね、急ぐから」 紅白を見たがる加賀見のために焦る余り、うまく鍵穴に差し込むことができずに数秒ロス。 「おっちょこちょいでごめん」 いちいち謝る渉をすぐ背後から眺めていた加賀見は。 どさどさ!! 「えっ? っ、わ……あ?」 渉はびっくりした。 角部屋の前、吹き曝しの通路、荷物を躊躇なく手放した加賀見に後ろから抱きしめられて益々全身を強張らせた。 「渉さん、いちいちかわいすぎ」 変態属性男子高校生にぎゅーーーーーっと力いっぱい抱擁されて慌てふためく社会人。 「加賀見君っ、外だから……っこういうことは外では駄目だっていつも言ってるよねっ?」 「忘れちゃった」 も……もう!!!! 「人に見られるからっ早く離れて、っ、っ!?」 渉はさらにどびっくりした。 コート裾から両手が潜り込んできたかと思えばインナーまで捲り上げられて。 お腹を、さわ、さわ、された。 「渉さんのお腹、あったかーい」 加賀見君って……本当……本っ当……!! 言葉にもできないほどに呆れ返った渉は、衣服の内側で温もっていた肌身を冷たい両手でなぞられてゾクゾクしつつも、何とかロックを外した……。

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