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Ⅵ 大切な気持ち②【完】
どうしてここが?
てっきり、はぐれてしまったと思ったのに……
「甘く見るなよ」
「お前、さっきゲイリー・スミスと写真撮っただろう」
ゲイリー・スミス?
そんな知り合いいないけど。
「映画俳優のゲイリー・スミス」
えぇぇー、あのゲイリー・スミス!
「お忍びで日本に来てたんだよ」
「さっそくインスタにあげてたぞ。『Japanese Mermaid★』で」
「写ってる背景から考えて、この辺りじゃないかって予測した」
でも、それって……すごく大変な事だったんじゃないか。
それを難なく当たり前の事のように、俺を探してくれた縣と先輩。
本当に俺を大切に思ってくれてるんだ。
「渡したくない」
「渡さない」
こんなにも想われている俺、幸せだ。
ぎゅっ
手を握る。
縣の手
桐生先輩の手
あったかい。
「大好きだ」
唇に乗せた声、聞こえたかな。
人の熱気と街行く人の足音の裏で、さらりと揺れた赤い紅葉がさらっていった。
ぎゅっと、握り返してくれる手と手
大丈夫、気持ちは伝わってるよ……って。
「じゃあさ、俺達5人でハロウィン楽しも♪」
恋は盲目なんかじゃダメ
周りの人の顔を悲しませたら、恋はそこで終わってしまう。
たぶんね。
「そうだな」
「そうしよう」
想い
受け止めてくれた。
想いが繋がるから、恋できる。
今夜はまだ終わらない。
ハロウィンの夜、恋は始まったばかり♪
―完―
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