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遠距離恋愛から5

***    会社には、インフルエンザにかかりましたので有給下さいと、ちゃっかり休んでいた。  叶さんの熱はなかなか下がらず、俺の家にて養生中。きっとかなりの疲労で、免疫力が落ちていたんだろうな。  ――まったく平気な顔して、無理するんだから。  寝ている叶さんの顔を見ながら、つい微笑んでしまう。  俺のために、早く帰ってきてくれた叶さんに尽くすべく、何でもしてあげよう。  そう思って、看病していたのだけれど…… 「賢一ぃ、お茶飲みたい~。井藤園のやつ」←なぜか自宅にない物をねだる 「腰が痛い、さすってくれ~」←夜中に叩き起こされた 「アイスが食べたい、ハーゲンラッツのグリーンティ」←これも自宅にない  上記に上げたのは、まだマシなほう。  体はヘタっていても、口だけは元気な叶さん。向こうでだれにも頼らず、ひとりで頑張っていたそのストレスを、体当たりでぶつけてくれる。  24時間、こまごました物を片付けながらの看病の毎日。3日目にはバテてしまい、買い物のヘルプを頼んでしまった。  叶さんに見つからないように、こっそりトイレで電話する。 「まさやん、頼みがあるんだけど……」 『ああ、それくらいの頼み事なら、聞いてやるよ。年寄りのワガママも大変だな』 「それ絶対、本人の前で言わないでね禁句だから。俺としては叶さんの世話が出来て、本当に嬉しいんだから」  ちょっとした買い物を、まさやんにお願いする。今は外に出るのも、億劫になってしまった俺。  あとは、まさやんと叶さんを会わせないようにしなければ。どうみたって、水と油の関係だろう。  叶さんはまさやんに嫉妬心あるし、まさやんは俺が浮ついているのを、叶さんのせいにしているし、苦手な年上だから尚更。  叶さんに薬を飲ませて、早めにさっさと寝かせてしまえば大丈夫。  その前に、お腹いっぱいにさせることも、絶対忘れずに。俺の計画的犯行は、いつも完璧なのだ!

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