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第14話 念願の初エッチ!

  「……うう……ん」  ――布団ない。寒い……。あれっ……俺、パンツ一枚じゃねーか……。  ぶるるっと震えながら目を開き、暗いベッドの上を見渡す。ブラインドの隙間から差し込むかすかな朝陽で、ようやく部屋の中の輪郭が薄ぼんやりと見えるようになってきた。 「ん……?」  ベッドの隅で丸くなっている影を見つけて、俺はゆっくりと目を瞬いた。佐波が、広いベッドの隅っこで丸くなっている。  俺はもぞもぞと佐波のほうへと這っていき、あったかい布団の中に潜り込む。そして、眠る佐波を背中から抱きしめた。佐波はいつになく深く眠っているらしく、俺がくっついていることも気づかない。  ぬくぬくとしたあたたかさにほっとしていると、ようやく、俺は昨夜の出来事を思い出した。 「あ……っ。そうだ、俺ら……」  ――そうじゃん、念願の初エッチ……!! したんだった……!!  昨夜の痴態を思い出すと、途端にどきどきどきどきと心臓が暴れ出す。同時にぎゅんと股間にも熱が漲り、かっと身体が熱くなった。  ――うわ、うわぁ……どうしよ……めっちゃくそ照れる……。  佐波を抱きしめる腕にも力がこもり、急に布団の中の温度が二、三度上がったような気がする。   +  佐波がちゃんと俺とのことを考えてくれていたってことに、テンションがあがりまくった。その勢いに任せて、俺は佐波をベッドに連れ混み、そのまま貪るようなキスを浴びせた。  強引過ぎるかも、って頭の片隅では思ってたけど、どうしてもやめられなかった。佐波もちゃんと俺のキスに応えてくれたし、俺の背中をしっかりと抱きしめ返してくれていた。  佐波のことが欲しくて、欲しくて、たまらなかった。キスをしながらシャツを脱ぐと、佐波も自ら、俺の貸したパーカーを脱ぎ捨てる。  馬鹿みたいにはぁはぁ言いながら佐波のジーパンを引き抜いてみると、佐波のペニスはもう硬くなって上を向いていた。それが嬉しくて、可愛くて、気づけば俺は、佐波のそれを口の中に含んでいた。 「あ! やまとっ……あかん、そんなん……ッ……!!」  流石にびっくりしたらしく、佐波は俺の頭をぐいぐい押し返そうとしていた。でも、ここでやめたくない。佐波をもっと味わいたいし、もっともっと、気持ちよくしてやりたい。  俺は半ば強引に佐波の脚を開かせて、くっぽり根元まで飲み込んでは、音を立てながらそれをしゃぶった。そのたびに佐波は腰をしならせて、「あ、ぁ!」と甘い声を上げて身悶える。  だが、艶めかしく腰を揺らしていたくせに、佐波は突然バシバシ!! となかなかの力加減で俺の肩を叩き、抵抗し始めた。唾液を絡ませたペニスをゆっくりと口から引き抜き、俺は上目遣いに佐波を見上げた。 「ハァっ……はっ……やまとぉっ……ばか、やめって……言ってんのに……!」 「なんでだよ……気持ちよくねぇ?」 「ちゃう、ちゃうくて……! フェラより……あの……」  佐波は顔を真っ赤にしてハァ……ハァ、と色っぽく息を吐きながら、蚊の鳴くような声でこう言った。 「したいねん……早く」 「え? 何を?」 「何って……! そ、そんなん、ほ……本番に決まってるやろ!!」 「えっ!! いいの!?」  エロいことをする雰囲気だったから、そのままベッドになだれこんではみたけど、本番を許可してもらえるとは思ってもいなかった。  俺のテンションはぎゅいんとさらに急上昇。自分の目が、ギラギラと歓喜に輝いてることは、見なくても分かった。 「ま、まじでいいの……!?」 「い、いいって言ってるやろ! 大和は、まだしたくないん……?」 「んなことあるわけねーじゃん!! する!! するする!! ちょっと待って!!」  俺は佐波の上に跨ったまま、テキパキとゴムやローションを用意した。そんな俺の様子を見上げる佐波の表情は、どことなく呆れているようでもあり、緊張しているようでもあり、嬉しそうでもあり……。  ――い、今からこいつとセックス……夢にまで見たセックス……!! うわ、どうしよ、心臓やべぇ……。  どきどきと逸りまくる欲望をなんとか制しつつ、俺は佐波のアナルを慣らしにかかった。ここまでは到達したことがあるとはいえ、まだ一回だけ。俺もまだまだ不慣れだから、丁寧に、怖がらせないように、痛くないように……。  と、キスをしながらゆっくり事を運ぼうとする俺の背中を、佐波はまたバシバシと痛めつけてくる。若干イラっとしながら顔を上げると、佐波は涙目になって泣きそうな顔をしながら、ちょっと掠れた声でこう言った。 「も、うっ……そういうん、いいから……!」 「で、でも。痛いのやだろ? 初めてだしさ……」 「痛くてもいい、……むしろ、痛いほうがいい」 「へっ……?」  突然のドM発言。  俺は一瞬、目眩を覚えた……。  凍りつく俺の首に腕を絡めて、佐波はさらにこう言った。 「俺、いま、大和にぐっちゃぐちゃにされたい気分やねん。……せやから、はやく」 「なっ……なんだよそれ……っ」  ブッツーン! と頭の奥で何かが切れる音が聞こえた。  俺は佐波の腰を強引に引き寄せると、ジェルタイプの潤滑剤をどろりとアナルに垂らす。びく! と震える佐波の窄まりを親指で荒っぽく撫で回しながら、口でコンドームの袋をびりっと破いた。  そして、ぐっ……と佐波のソコに、先端を押し込んでいく。  多少硬さはあるけど、ローションのぬるつきも手伝って、先っぽがつぷんと中に挿入った。まだキツキツだし、佐波もすげぇ苦しそうだけど、今まさに繋がっているという感動と興奮で、俺はめちゃくちゃ猛々しい気分だった。 「っ……!! んぅ……っ」 「きつ……力抜けよ。……そんなんじゃ、全部入んねーだろ……っ」 「はぁっ……はぁ……ッ……やまと…………ひ、ぁ」 「っ……うわ、ヤバ……」  もう少し腰を押し進めてみると、ぎゅ、きゅ、と内壁で締め付ける佐波の動きを感じた。俺の身体よりもずっと熱を滾らせた佐波の中は、オナニーやオナホなんか比べ物にならないほど、リアルな快感を俺にもたらす。  思わず腰砕けになりそうになるのをぐっとこらえて、俺は佐波の上に四つ這いになる。すると、硬く目を閉じ、まつ毛に涙をくっつけている佐波の顔が間近に見えた。痛みを逃がそうとしているのか、呼吸が浅くて、苦しそうだ。 「……佐波、痛い?」 「い、いたないわっ……!!」 「強がんなってこんな時に。なぁ、こっち見て?」 「い、いやや!! 一思いにブスッとやらんかい!!」 「ヤクザみてーなこと言ってんじゃねーよ。……なぁ、キスしよ?」 「ふっ……ぅ」  頬に手を添えて上を向かせると、目が合った。すると、佐波の表情がわかりやすくトロンと緩む。その表情がむずむずするくらい可愛くて、俺は思わず笑ってしまった。  今にも「何 ()ろんねん!!」と怒りだそうな佐波を黙らせようと、ちゅっと唇にキスをする。 「あ、あっ……はぁっ……」 「キスしたら……ちょっと力抜けんじゃん。……ハァ……やべ、俺イきそ……」 「い、いきたかったら、イケばいいやろっ……っ、んっ……」 「まだ嫌だって。……もっと、もうちょっとこうしてたい」 「んんっ……」  そんなやり取りを繰り返しつつ、ゆっくり挿入していくうち、佐波の柔らかい尻に下腹が触れた。相変わらずはぁ……はぁ……とちょっと苦しそうだけど、佐波もそれに気づいたらしい。  ぽやーんとした顔で俺を見上げて、そっと自分の腹に手を添えて、「あ……ぜんぶ、はいったん……?」と気の抜けた声を出している。 「うん……っ……すげぇ、入っちゃった。ハァ〜〜……もう、俺まじ、マジでイキそ……」  竿全体をぎゅう、ぎゅうっと締め付ける佐波のナカに入っているだけで、今すぐにでも射精してしまいそうに気持ちいい。あったかく濡れてて、物欲しそうにきゅんきゅんひくついて、気を抜けばすぐにでもイかされてしまいそうだ。  俺は必死で難しい事を考えながら、せり上がってくる欲求を押し殺す。 「佐波……だいじょぶ、なのか? ……俺ばっか、気持ちよくなってねぇ?」 「っ……そ、そんな心配せんでも、いいねんて……っ……ん」 「どした? 苦しい?」 「ま、待っ……動いたらっ……あ、ふっぅ……!」  俺がちょっと身じろぎをすると、ビクン!! と佐波の下半身が小さく跳ねる。佐波は「はぁ……ハァっ……」と艶っぽいため息を漏らしながら、顔を横に倒し、俺から目をそらした。 「動いたら痛いのか? 一旦抜く?」 「ちゃう、っ……ちゃうねん、ふっ……ァっ……あ、」 「……佐波? ひょっとして気持ちいいの?」  試しに、小刻みに腰を揺すってみると、佐波は「あ、あっ、あほっ……ァっ……」とかぶりを振って悪態をつく。そこでようやく、ピンときた。  佐波もちょっとずつ快楽を拾えるようになっているのだと理解した俺は、横たわる佐波の身体をぎゅっと抱きしめながら、く、くっと腰を上下に降ってみる。 「あ! ぁん、ンっ……んっ……!」 「こういうの好き? もっと動いてもいい?」 「んっぅ……ンっ、んっ……すき、ァっ……そこ、っ……」 「すげ……なんか、佐波んなか、最初より俺のちんぽに馴染んできてるっていうか……」  ずず……とゆっくりと腰を引き、再びずんと打ち付ける。すると佐波は、「ひっ……ぁ」顎を仰いて小さく声を上げながら、ぶるっと肌を震わせた。  そして、怜悧な目を涙目にとろけさせながら、掠れた声で「きもちいい……」と、俺を見上げて……。  それから俺は、文字通り獣のように腰を振っていた。  芸もテクもあったもんじゃない。四つ這いになって佐波をきつく抱きしめながら、ずんずんずんずんペニスを抽送するために腰を振り、喘ぐ佐波と何度もディープキスを交わしながら、初めての快楽に頭から溺れた。  その頃には、佐波もすっかりエロい表情になっていて、心底セックスに酔っているようだった。いつもはあんなにキリッとした綺麗な顔が、見たことないくらいいやらしくとろけている。  目からはぽろぽろ涙を流し、俺の頭や背中に腕を回して、時折、俺の背中に爪を立てた。 「ぁ! ああ、あん、っつあ、あっ……あぁ、あっ……!」 「佐波……ハァっ……かわいい、すげ、すげぇイイよ……っ、佐波、ハァっ……」 「や、あっ……いく、いくっ……やまと、ァっ……ハァっ……いく、ぅっ……」 「も、むり、おれも……俺もイくっ……ハァっ……はっ……あ、あっ……!!」  正常位で抱きしめ合ったまま、俺たちはほとんど同時に絶頂した。  どぷ、どぷ……っ……と今までにないくらいたっぷり精液が出ているような感じがする。佐波が全身で俺を求めてくれてるっていう興奮と、とろけるような幸福感が、俺の腰を痺れさせる。 「ハァっ……はぁ……はぁ……っ……」  射精後の余韻で目が眩む。抱きしめていた腕の力を少し緩めると、俺と同じく肩を上下させ、息を整える佐波の表情が間近に見えた。  とろ〜んとした表情で俺を見上げる佐波の目の端から、つうっと、一粒の涙の粒が転がった。 「……なんやこれ、クセになりそやな……」 「え?」  色っぽい顔で何を言い出すのかと思えば……と、俺は思わず吹き出してしまった。まだ挿入ったままの状態でひくひく笑い続けていると、佐波が「あ、っ、んっ……ばか、ぬいてから、笑えや!!」とエロい声で怒っている。 「俺も、めちゃくちゃクセになりそーだわ。……すっっっっげぇ、よかった。マジで気持ちよかった」 「……ん、うん……俺も……」 「佐波の喘ぎ声、超絶エロいしさ〜。……そっちもすげークセになりそ」 「っ……あ、アホなこと言いなや! 大和かて、けっこうあんあん言うてたやんか! 挿れるがわのくせに」 「だって、すげぇ気持ちいいんだもん。……求められてる〜って感じしたぜ」 「……」  そう言いながら、ちゅっと佐波の高い鼻先にキスを落とすと、かぁぁぁぁっと佐波の頬が真っ赤に染まった。むずむずと唇を引き結び、つーんとそっぽを向いてしまう。  一瞬、また怒らせてしまったかと思ったけど、照れているのが丸わかりの甘い表情。今度は佐波の耳たぶにもちゅっちゅっとキスをしていると、佐波はふたたび「あっ、あほ、やめぇっ……ンっ」と可愛い声で身悶え始めた。 「……もっかいする? 違う体位とか試してみねぇ?」 「……も、もっかいって……」 「いや?」 「……いややない」 「へへっ、やったね」  そうして、2ラウンド、3ラウンドと盛り上がった夜だった。   + 「……あつい」 「え、あ、ごめん」  昨夜のことを思い出していたら、カッカカッカと体温が上昇していた。暑さに耐えかねたのか、とうとう佐波も目を覚ましてしまったらしい。  そして、コロンとこっちを向いた佐波は俺を見上げてゆっくりと目を瞬き、俺と同様真っ赤になった。

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