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第2話
アルファオークション当日。
陽太は、勘助の秘書の運転する車の中でここから逃げ出すことは出来ないだろうかと考えていた。
「どうした?陽太。浮かない顔して」
「……………何でもありません」
「しかし、陽太はついているかもしれんな。今回のアルファオークションは、いい商品が揃いに揃っているらしいぞ」
「そうなんですか」
「そうだ。気に入ったアルファがいたら、何人でも言っていいからな」
「………分かりました」
アルファは何人も要らない。そう言いたいけれど、アルファを道具としか思っていない勘助に言ったところで通じるとも思えない。
陽太は諦めて、車の窓から外の景色を眺めた。
どんなにあがいても、自分はアルファと番になる運命から逃げられない。出来ることならベータに産まれたかった。そう願わずにはいられなかった。
ボーッと陽太が外を眺めていると、オークション会場に着いたらしい。
勘助は慣れたように、堂々とオークション会場の中を歩いていた。陽太もそのあとに続く。
会場の中にある大ホールが、今回のオークションの場所である。勘助が前もって用意していた座席に座って、オークションが始まるのを待った。
「どんなアルファが出てくるか、楽しみだな。陽太」
「……………」
「まぁ、いい。今日必ず1人でもアルファを見つけるんだ。じゃないと、俺が勝手に決めるからな」
勘助がそう言って1分ぐらいたっただろうか。オークションが始まった。
鎖に繋がれ、裸のままステージに立たされるアルファ。そんなアルファの姿を、興奮するように見ているオメガ達。
こんなオークション、早く終わってしまえばいい。そう思っていた陽太は、勘助が進めてくるアルファを断り続けた。
そして、今回のオークション最大の目玉商品であるアルファはステージの上に立った。
美しい黒髪と、美しい顔立ち。そしてしなやかな身体と少し小麦色の肌。
目が離せなかった。初めてだった、こんな感情は。
「――――――しい」
「どうしたんだ、陽太」
「あのアルファがほしい」
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