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第7話
「穂積さん、喉乾きましたよね? もう丸一日何も口にしていませんもんね。なので水あげます。はい、口を開けてください。穂積さん? 穂積さん? 聞こえていますか?」
前回のように、浅川は穂積の檻に腰を掛け、水が入っているであろうペットボトルを見せつけてくる。穂積は顔すら上げることができない。
あれから何時間が経ったのだろうか。用足しを要求したが、穂積の回答は檻の中でしろ。何もかもかなぐり捨てて、穂積はハーフパンツを脱いでくるくると巻き、そこに用を足した。
一滴一滴が染み渡るたび、気づけば穂積はぽろぽろと涙を流していた。
何が間違っていたんだろう。断りにくくてもキャンプの誘いを断っていれば、今このような苦しみと恥辱を味わうこともなかっただろう。
いや、それよりも前、浅川が穂積のことを気に入り始めたそのときから、浅川に嫌われる努力をすればよかったのかもしれない。
本当にこのまま殺されてしまうのか。
排尿が終わり、穂積は汚れたTシャツを檻の外に投げつけた。穂積が抵抗したところで浅川は簡単にいなしてしまうだろうが、穂積にだってプライドはあった。ただこのままの生活が長く続くとして、いったいいつまで正気でいられるのだろう。
「あ、そこにしてくれたんですね。少しは掃除が楽になりそうです。おおい、穂積さん意識あります? あったら俺に向けてくださいね。水が飲みたくてしょうがないでしょう?」
水は確かに欲しい。監禁されてから一度も水分を摂取していない。浅川から施しを受けることは業腹だが、今すぐ水がほしかった。しかし拘束が外れていたとしても穂積は身体を起こすことが億劫であった。
「……水」
震え声で要求する。
「もっと口を開けて」
浅川は嫌な笑い方をした。何をする気だ。
直感的に身を引こうとしたが首から伸びる鎖に動きを制御され、一瞬止まった穂積を見逃さず、浅川は檻の中に手を伸ばし穂積の髪を掴んで持ち上げた。
「痛っ」
「もっと口を開けて穂積さん。あーんって。ね、赤ん坊でもできますよ? あなたが大人でしょう?」
「痛い、放して、放せ浅川っ」
穂積がなけなしの抵抗を取っている間、じじじとファスナーの開く音がし、見ると、浅川が自らの下着の間から彼の性器を取り出そうとしていた。
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