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第11話
噛まれてたまるものか! 僕は時雨様のモノなんだから。時雨様だって嫌がるに違いないし、きっときっと噛まれたら嫉妬してくれるに違いない……よね?
なんだか急に不安に襲われる僕。
だって『女の一人や二人転がして』とか言われた事あるし……。うーん……。
「どうしたの? あずちゃん」
「僕、時雨様から愛されてるのかわからない……」
そんな事を言っていると笑いながら二人に僕は言われた。
「あずは考えすぎなんだ。もう少し柔和に考えればいいだろう」
「そうよ? あんなにお熱な時雨様なんて見た事ないわよ? 私も京もあずちゃんより長くこの屋敷にいるけれども、あずちゃんが来てからというものの、私が言うのもなんだけど、すっごい溺愛してるのが手に取るようにわかるわよ? 目が追っちゃってる感じっていうのかしら?」
溺愛かぁ。よくわからないや。
「まぁまぁそんなことより、あずちゃんは晴人様に何か送るの?」
(料理……? でいっか。楽だし……)
「僕は料理をプレゼントしようと思う。料理長の川島(かわしま)さんに習って」
「良いわねそれ。私は料理は破壊的にだめだから、私にリボン巻いてなんてできるわけないけど、あずちゃんにリボン巻いてあげちゃおうか?」
「それは良いアイディアだとは思うが、あずは……ほら震えているぞ?」
思わずブルリと震え上がるとジト目で見つめる。何か言うよりこの方が効果があるに違いない。
じーっ!!
「……」
「……」
僕は無言でじーっと上目遣いをすると『ッギュ』とされた。
「あずちゃん可愛い。上目遣いは卑怯よ。私破れたり……。なんだかあずちゃんって保護欲をそそるというか……時雨様の気持ちすっごくわかるわ。お姉さんとチューする?」
「ぅーしーまーせーん!! もうっ!」
本当にしてこようとしていたので思わず女性に力を使うのもあれだけど、男には死守しなければならないモノがある訳で。必死に抵抗して笑われた。
女性ってコワイ……。
「本当可愛いんだから。うふふふ」
「あず、都はお前の事が気に入ってるんだ。仕方ないと思え。いつか本当にキスされないようにな」
にやりと笑って都さんに『したら、時雨様に本当に追放されるかもだぞ?』と言っている京さんに感謝をしていた。都さんみたいな綺麗な女性にされたら嬉しいけど……・
嬉しくないわけじゃないけど、本当に好きな人にされる事こそが喜びだと思うのだ。
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