「……京聞いてて何か思ったことあるか？　こんな俺だけど、従事してくれるか？」 「どうしましょうかねぇ……。正直私には晴人様の感情がわかりません。従事したいのは山々ですが、主を信じられるかといわれたら、不安という言葉がでてきてしまいます」 「京、お願いだ、やめないでくれ。俺は俺は……京がいなくちゃ立ち直れないんだ。京がいてくれるから俺が俺でいられるんだ。俺は、京のこと――」 　俺は何を言おうとしているんだ？　感情がわからない。ただただ、京が居なくなることが嫌で仕方なくて、いつの間にか涙を流していた俺。 　どうしようもないやつだ。俺は……。梓馬にも京にも迷惑をかけて。 「晴人様。涙拭いますよ。私は貴方様を全力でサポートしますので、どうか泣かないでください。意地悪がすぎましたね。すみません」 　京に涙を拭われ俺は、思わず京を抱きしめていた。俺より小さい京。 　すっぽりと俺に多い包み隠される。 「やれやれ、晴人素直になることだよ。じゃないと、嫌われしまうぞ。お邪魔なようだから私は去るよ」 　お邪魔って別に……。素直だし俺。時雨兄さんは本当になんていいかわからない人だなぁ。掴みどころがないというか……。 　京は俺の腰に手を回して縋（すが）り付いてくれる。 （可愛い……） 　ごくりと生唾を飲み込んでしまう俺。 「あ、あのさ、京。俺の事見捨てないよな？」 「さぁ？　どうでしょうか」 「京！」 　くすくすと笑いながら俺をからかう。心地いい感触だ。なんかふわふわする。 「嘘ですよ。見捨てたりしませんよ？　見捨てているならもっと最初から見捨ててます。なんて言ったって『番』なんですから」 「本当か！　そうだな俺たちは『番』なんだよな！　うん！　俺、お前のこと大切にしたいと思う。心の底から。こんな事一回しかいわないけどな」 　ポリポリと頭を掻く俺。だって、恥ずいじゃん。俺のガラじゃなねぇし。 　俺の胸の中落ち着いてる京に、ホッとする。もしかして俺、こいつの事が好き？ 　どうも『番』になってから胸騒ぎが止まらない。 　こいつを見るとど一体次はどんな顔をするのか、見たくなる。 　京は不思議な存在だ。暖かくて、ほっこりできる。 「夜はいただきますよ？　いいですね。今日はお部屋で待っててくださいね？」 「いただく？　ケーキかなにかを食べるのか？」 「まぁ、そんなところです。いいですね、大人しく待っててくださいね」 　俺は言われた通りに待つことにした。