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第29話

「だーれだ?」 「わっ時雨様! いきなり何をなさるんですかー!!」  お茶目ないたずらが大好きな時雨様。まったく僕が怒らないからっていきなり。乳首を 摘むのはやめて欲しい。思わず感じてしまいそうになって焦ってしまった。  普通『だれだ?』っていうぐらいだから目を隠すもんじゃないかと思うのにエロ魔神なんだから!  でもそんな時雨様を愛してやまない僕は恥ずかしいけど、こっそりと耳打ちしてみた。 『そんな事されたら僕勃っちゃいます』って。  そしたらさり気なく、更に乳首を揉んでくる時雨様。えっちなんだから!  その手つきがいやらしくて、僕は思わず足がすくみそうになる。そこを時雨様の腕が僕を支えてくれて転ばずに済んだ。 「あ、ありがとうございます。僕、僕……時雨様の部屋に行きたいです……、お仕事の途中ですけれど、時雨様が触るから」 「はしたない、いいよ。梓馬おいで、可愛がってあげるよ」  柔和な笑顔で応えてくれる。  そして、軽く項にキスをされ僕はビクンとしてしまう。  僕はいつの間にか時雨様にお姫様抱っこされる形で部屋へと運ばれていた。  部屋に入った瞬間きつく抱きしめられ、貪り合う僕等。 「んん……はむちゅ……んじゅ、んは」 「梓馬とろーんとして可愛い。もっと舌出して? 蕩けさせてあげる。んん、ふんちゅれるれる……んん」 「時雨様……! 大好きです。んん!」  首に手を回して深いキスを繰り返してこれからって時に……。 「兄さん、いる? 新しく入る執事の日向(ひゅうが)成(なる)さんが来たよ」 「しまった。私としたことが……梓馬寝室の方に行ってて?」 「……はい」  僕はいそいそと寝室の方へ向かうと着衣を乱された跡を正していた。 「どうぞ……」 「失礼します」  僕は不機嫌だった。だってだって!! 「時雨様ですか!? 僕は日向成っていいます。お気軽に成って――あ、僕ったら、どうぞよろしくお願いします」 「日向くん、偉いね、一時間前行動をして来るなんて。いい子だね。うちには三人のメイドと執事が居るんだよ。どの子も優秀だから見習うといいよ」  どうせにっこり笑顔で言ってるんだろうなぁ。あー嫉妬! 「あの僕、僕、ひと目見た時から時雨様のこと好きで! こんな事言ってる僕のこと幻滅されてしまうかもしれません…‥僕、時雨様と秘密の関係になりたいんです。いっぱいご奉仕するので専属執事に指名して頂けませんか?」  え!? そんな時雨様の美貌は確かに人を魅了するけど、いきなりそんな事言うなんて。なんて大胆な子なんだろう。声高いけど、僕って言ってるし男の子だよね……。時雨様なんて返事するんだろう……。  嫌な気分だ。

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