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第34話梓馬side

「母さん、僕は捨てられちゃった。どうしたらいいかな……。いっそ母さんのところにいけば楽になれるかな」 「お前は……疫病神! お前にいつここに来ていいと言った! お前はお前というやつはどれだけ恥知らずなんだ!」  何処へ言っても疫病神。そう、僕は疫病神なんだ。  何処か行こう。 「これまて! 話は終わってないぞ」 「おじいちゃん! 梓馬くんになんてこというの! 梓馬くんはお母さんが入院してる時に一生懸命、美代(みよ)姉ぇの元で一生懸命看病してたのよ、それでも疫病神呼ばわりするのは、あ、梓馬君待って!」 「さようなら」  僕はどうでもよかった。  誰にも必要とされないのなら僕はどうしようもないし、学校へも行きたくないし、住む場所もない。  ホームレスにでもなるのかな。  後ろから追ってきたお姉さんに半ば無理やりお屋敷に連れて行かれた。 「あず! あずなんだね。わぁ大きくなったね。覚えてる? 私のこと。覚えてないか。小さい頃に、充(みつる)兄ぃ充兄ぃっていってはなれなかったんだよ?」 「ごめんなさい。覚えていません」 「これからこのお屋敷で私の為にいてくれないかな? 可愛いあず。居場所が無いなら私がなるよ」 「いらない……です」  僕は静さんというお姉さんに此処に連れられてきたけれども、此処にもいたくなかったけれども、母さんが確かいつかって時のために『南充さんを頼りなさい』と言っていた事を思い出した。  全部なくなっちゃった。母さんも、時雨様も……僕の居場所も。  生きてたくない。  時雨様の笑顔が好きだったし、甘く囁く声も好きだったし、抱きしめてくれる腕の中がすきだったし…‥何もかもが好きだった。嫌いなところなんてなかった。でも必要とされなくなっちゃったから生きていても仕方ない。  あの世に行こう。 「あず、死のうなんて考えちゃだめだよ。話は聴いたけど、すごいひどい主に当たったね。することして、『ポイッ』なんて。私はしないよ。あずのこと大切にするからいい?」  意味を悟る前に、ベッドに押し倒されて着ていた洋服を滅茶苦茶にされていた。  抵抗する気もなかった。されるがままにされてお風呂に入れられそこでもされて、快楽に酔いしれることも忘れ、ただ死ぬのを待つばかりだった。  喘ぎ声が漏れる度に僕は穢れていく自分の体を呪った。時雨様とは違う手の冷たさに心底うんざりしているけれども、感情が出てこない。  こんな体なんていらない。  時雨様にはもう抱いて頂く価値なんて無い。 「あず何が欲しい? なんでも買ってあげるよ」 「いりません」 「なぁ、もう何回も抱いたのにお互いもう、知らない仲じゃないだろ? あずはΩだろう?噛んじゃってもいいかな?」  嬉々として語る充という男は、たかが体の関係を持っただけで、有頂天に達して。馬鹿らしい。噛まれたって……僕は時雨様のモノだから。  嫌がられても時雨様のものでありたいと思うようになった。拒まれても。 「あず、何考えてるの? 私の事かな? 昨日のエッチも気持ちよかったね。あずの鎖骨に噛み跡残したの覚えてる? あず何とも無い顔しちゃって、本当は感じていたんだろう? 今日もいいかな? あずを見ているとずっと舐めていたいって思っちゃうよ」  気持ち悪い。抱かれるのは慣れてるけれど、毎日好きなだけ抱かれて巳を貶めて何になるかもわからないけれど、僕は、居場所がないから此処にいることにした。  死ぬ機会を見計らって。  躰をいくら弄ばれようと心が通ってなかったらなんの意味もない。  精神が傷んでいくのがわかる。ちょっとずつちょっとずつ、僕は干からびていくのかな。 「噛むよ? いい? いいよね?」 「充様、榛様がご来客です。当主に会いたいと申されております。それと梓馬様とも」  僕は耳を疑った。榛と言った。まさかねと思った。 「父さんにやらせてよ。今はあずと一緒にいるんだ。邪魔――」 「梓馬を返してほしいとおっしゃっています」  鼻でふんと笑って充という男は無視するように言う。  けれど、 「事と次第によってはこの家を潰すとおっしゃっています」 「なんだって!?」

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