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第40話
「は……ると様? 京さんっていう『番』が居るのに、何抱きついてるんですか~」
「いいんだよ。梓馬、俺が怖い?」
「少し……」
目を合わせられないまま僕は下を向くと。
「兄さんをあっと言わせよう。兄さんもう少しで誕生日だろ? リボン付けてお前が誕生日プレゼントになればいい。」
「いや、今更いい出したこと撤回出来ませんし……」
「あず、根性見せろ?」
京さんまで! もうどうしてわかってくれないんだろう。
「考えておきます。その時は少しだけれど、お手伝い頂くかもしれいませんが多分無いとはおもいますがよろしくお願いします」
「京も椅子に座れよ。一緒にクッキーでも食べようぜ! 梓馬何逃げようとしてるの?」
「ぅ…‥」
目ざとい。流石と言わざる得ない。
「二人の時間を邪魔するわけにはいかないので、ね? 京さん」
「見せつけるのも悪くない」
あーご馳走様。ご馳走様だぁーもう。僕だった時雨様といちゃいちゃしたいよ。
そりゃぁ、大好きな人なんだからでも……。ぅー僕も欲が出てしまう。
欲に身を任せられたらどんなにいいか。でも僕はだめなの。
時雨様にはふさわしくないんだから。
「ほれ、あーん」
「へ、あーん……もぐもぐ、あ、美味しい」
「あず、素直になることが一番だぞ? 成に取られて悔しい思いするのは嫌だろ?」
そりゃぁ、嫌だけど。
うーん‥…。時雨様にきいてみよう。
「時雨様に聞いてみます」
「兄さんはいつだって梓馬と一緒にいたいんだよ。俺らがイチャイチャしてたら、ぼそっといいななんて呟いてたんだから」
晴人様に頭を撫でられる。こんなに優しい方だったっけ? なんて思ってしまうけど、そういえば、晴人様は昔から愛情が実る前は優しかったかもしれない。
京さんは晴人様にお茶を差し出して砂糖を入れてあげている。
いいな僕もして差し上げたい。誰にって? 時雨様に。
時雨様は成さんには手を出してないっていってたけど、成さんの方が乗り気だからなぁ。
成さんは成さんで一生懸命従事してるし、それを邪魔して良いものかと思ってしまうけど、今の僕は、時雨様愛に満ちていて、時雨様が恋しくて恋しくてたまらなかった。
「あ、そっか挿れなきゃいいのか!」
「は?」
「あず思考が漏れてるぞ……」
照れながら僕は思案していた。ようは挿れなきゃいいんだ。と。
奉仕するのはできるんだから。
気分が妙に晴れ晴れとしている。
「晴人様、京さんありがとうございます。僕頑張ってみます!」
「お! その気になったか。遅いぞ? 時雨兄さん、いつだってお前の事考えてるんだからな?」
「はい」
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