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第9話

あの後、翔太に抱えられてお風呂場へ行き、身体を洗ってもらった。 スッキリしてリビングに戻ると、怠い腰をさすりながら、グラタンを焼いてサラダとパイをテーブルに並べる。フォークと飲み物をテーブルに置いて座った翔太が、端に置かれたカボチャの顔を見て、笑って言った。 「へぇ〜、凪、上手に出来てんじゃん。どうしたの、これ?」 「翔太の実家からいっぱいもらったから、って言って、義母さんがカボチャを送って来たんだよ。で、もうすぐハロウィンだし、ちょっとハロウィンぽくしてみました…」 焼き上がったグラタンをテーブルに置いて、僕も翔太の向かいに座る。手を合わせてから食べ始め、グラタンを口に入れた翔太が、クスッと笑った。 「熱かったの?気をつけてね…」 「うん、熱いけど美味いよ。なぁ凪、この緑の顔、可愛いけどさ、作るの、大変だったんじゃないか?普通は、これ作るようの黄色いカボチャじゃなかったっけ?」 「うん…そう思ったんだけどね、カボチャが三つもあったし、いいかなぁ…て。ダメだった?」 「全然。うちの家オリジナルだなっ。グラタンも美味いし。凪は最高の俺の嫁だ」 「よっ、嫁って…。もう…」 「あ、嫁って言われるの、嫌だった?」 「ううん…、嬉しいからいい…」 「よかった」と微笑んで、またグラタンを食べ始める。僕が半分食べたところで、翔太はもう食べ終わってしまい、デザートのパイを嬉しそうに頬張り始めた。 「んっ、美味いっ。ん?凪、これ…中に何が入ってるの?」 僕は、ハフハフとグラタンを口に入れて、首を傾けた。 「えーっと…、カボチャとりんごと…、あ、ラム酒もちょっとだけ入れた」 「それかぁ…」 翔太が納得したように大きく頷く。僕は何のことかわからなくて、反対側に首を傾けた。 「凪さ、パイ作った時ちょっと食べた?今日、メッチャ感じてたじゃん?どうしたのかなって思ってたけど、ラム酒を口にしてたからかぁ」 そういえば、残った材料で小さいパイを作って食べた…。え…?確かに僕はお酒が飲めなくて、ほんの少しでも酔ってしまう。じゃあ、翔太が黒豹に見えたのも、すんなり猫の被り物を受け入れたのも、ラム酒のせい? 「僕…そんなに感じてた?」 「うん、メッチャエロかったしメッチャ興奮した。猫もマジ可愛かったっ。また着けてくれよな」 「嫌です…」 「ええ〜…」 セックスが終わった後の余韻に僕が浸っていると、翔太が自身を引き抜くや否や、すぐに僕に猫の尻尾つきパンツを履かせて写真を撮ったのだ。 僕は翔太の写真を一枚も撮れていないのに…。 「まあ…写真があるからいっか。永久保存用に、バックアップを取っとかなきゃな…」 ブツブツと呟く翔太を睨んでみるけど、そんなことにはちっとも気づかないで、またパイを口に入れて、とびきりの笑顔になる。 僕は、残りのグラタンを口に入れて咀嚼しながら、チラリとソファーに目を向けた。 無造作に置かれた猫の被り物、尻尾つきパンツ、猫の手。 ハロウィン当日、翔太は絶対にまた着けてくれと言うに違いない。僕は、翔太にわからないように、クローゼットの奥深くに隠してしまおうと、小さく頷いた。

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