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第20話

 帰りの車で、船を下りるときに貰った包みをリカルドに差し出した。 「はい、これ」 「君のでしょう」  一瞥したリカルドは受け取らない。 「チップ出したのリカルドだろ」 「掛けたアキトのものだよ」  換金したチップは200万円近い金額になった。金の押し問答なんてスマートじゃないやり取りはしたくない。  加賀美はうなずいて「じゃあ、これで今度デートをしよう」とにっこり笑った。 「それは楽しみだ」  リカルドが鷹揚にうなずくのに、加賀美はいたずらっぽく囁く。 「次はもっと刺激的なことをしようか?」 「君といると落ち着いて食事もできないな」 「楽しんだくせに」 「そうだけどね」  あの後、メインを食べる間じゅう、加賀美は器用な足でさんざんリカルドを焦らしたのだ。そして最後はテーブルの下に潜りこんで奉仕してくれた。リカルドは2度目の唇をじっくりと味わった。  デザートを呼ぶのが少々遅くなったのはそういうわけだ。 「きれいな顔してこんなに性悪だとは思ってなかった」    小悪魔の次は性悪と来た。 「でもホントは嫌いじゃないでしょ、こういうの」  楽しげに笑う加賀美のネクタイを引き寄せて、リカルドは熱っぽく口づける。 「ああ。きれいで性悪でフェラが上手いなんて最高だな」 「お褒めに預かり恐悦至極」   澄ました顔で加賀美が微笑む。 「またね、リカルド」  部屋に戻った加賀美はテーブルに金の入った封筒を置き、シャワーを浴びた。  さあ、この金で何をして遊ぼうか。  あぶく銭はそれらしくぱーっと使わないと。

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