それから夏休みの間、ほぼ毎日純太と遊んだ。友達や弟がいるときは一緒に遊んだし、友達が自分の兄弟を連れてきたりして、純太にも公園仲間が増えていった。 大人数で遊ぶのも純太が一人ぼっちよりはずっといいと思ったが、皆が帰った後二人だけで並んでブランコに乗りながら喋る時間も好きだった。 顔こそ女性アイドルみたいだったけど中身はサバサバと男らしく、ボールを投げる姿が美しく決まっている。ちょっと皆とは違うイントネーションが都会っぽく感じて、憧れたのだ。 あるときそうやってブランコで話していると、急に空が暗くなり夕立がやって来た。 「帰ろ！」と立ち上がったが、純太は「また明日な」と手をヒラヒラ振った癖に家とは反対の方角へ走り出す。そしてコンクリートでできた大型滑り台の下のトンネルに潜り込んだ。あそこで雨宿りするのかと後を追いかけて、同じように潜り込む。 「浩司(こうじ)は帰っていいのに」 「純太君は帰らんの？」 「ん……もうちょっとな……」 「なあ、もしかしておばさんが意地悪とかするん？」 目を見開いた純太は、ちょっと苦笑いして言った。 「意地悪っていうか……俺がいると、何かとおばさんとおばあちゃんが衝突して喧嘩になるから……あんまりそんなの見たくなくってさぁ……あ、これ内緒な？」 純太は口の前で人差し指を立てパチンとウィンクをした。 そんな漫画やアニメでしか見たことないポーズをしても様になる純太に感心し、内緒という言葉に自分だけが特別に秘密を打ち明けられたような気持ちになって少しくすぐったかった。