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第6話
中学に入学すると迷うことなく卓球部に入った。3年生は夏で引退してしまうらしいが、それでもよかった。
純太を追いかけまわしていたら早々に『純太のワンコ』という綽名を先輩たちから貰った。部活があろうが無かろうが、自分のクラスのホームルームが終わると、まず純太のクラスへ迎えに行く。
「純太くーん、ワンちゃんがお迎えに来たよ~」
中3の純太はなかなかのイケメンになっていて女子にも人気が高く、そのワンコとして俺も彼女たちから随分可愛がられた。
あっという間に純太は卒業してしまったけれど、高校も迷うことなく純太を追いかけて入った。
その頃には俺の伸長は随分純太を追い越していて、入学式の後、校門前で待っていてくれた純太は「でかくなったなー」と笑いながら「入学おめでとう」と腕を伸ばして自分よりも高いところにある俺の頭を撫でてくれた。
「浩司、高校でも卓球やんの?そんだけ身長あったらバレーでもバスケでも活躍できそうじゃん。きっと声も掛かるぞ?」
帰り道に純太がそんなことを言う。
「いや、卓球やる」
だって純がいるから。
「ふーん」
純が卓球を選んだのは、本当にやりたかった野球は道具やウェアに金が掛かるという消極的理由だろうと俺はふんでいる。当たりのキツイ叔母にいつも気を遣っているのが分かるから。
「純、俺、苦手だったバックだいぶ克服した」
「お、じゃあ練習楽しみにしてるぞ」
また頭をポフポフされて、デレデレと口元がにやけてしまうのを、いけねえここは公道だったと慌てて引き締めた。
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