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第11話

純太が忙しく働いている間に、単位を落とさない程度に勉強をし、バイトに励んで、憧れだった免許と中古バイクを手に入れた。 揃いのヘルメットを被せた純太を後ろに乗せ、腰に掴まらせて走るのはとても気分がよかった。あんまり帰りが遅い日は店の近くまで迎えに行き、俺の講義と時間が合えば朝も店まで送ってやる。 純太が休みの日には、純太を乗せて海まで走った。俺たちの地元の県には海が無かったので、二人とも広がる水平線と開放感に最初は感動したものだ。 千葉や神奈川の海岸で年がら年中サーフィンをしている奴らをボーっと眺めているだけでも楽しかったが、純太が「俺もアレやってみたい」と言い出した。 「純、寒がりじゃん。冬はバイクすら寒いって文句言うのに、海に入れんの?」 「あ、夏限定で」 「なに、女子にモテようとか思ってんの?」 「ああ?んなわけないだろ。こんな可愛い彼氏いんのに。あ、マズイか、夏の海でお前があんなウェットスーツ着てたら女子に絡まれるわ。ただでさえサーフィンやってる男ってカッコよさ2割増しに見えねえ?」 「俺も一緒にやる前提?だったら車が要るんじゃないか?バイクでニケツじゃ、荷物運べないだろ。 俺だって純に体のラインはっきり分かるヤツ、女の前で、いや、男の前でだって着せたくないね。なんかエロイんだよ、純は」 そういいながら純太の裸体を思い浮かべ、ちょっとムラムラする。だが、隣で純太もどうやら同じような事を考えていたようで、ちょっと顔を赤くしながら妙に色っぽい溜息をつく。 「なあ純、近くのラブホに寄ってかねえ?」 耳元で甘えた声で囁いてみる。 「あー…そうしたいのは山々だけどさ…」 「何?」 「事後に長距離バイクに跨んの、キツそう。気が付いたら、俺、落っこちてるかもよ」 「くっそ、やっぱ車が要るか!そしたら純を抱き潰しちまっても助手席に乗っけときゃいいもんな」 そんな馬鹿話をして、もう少し純が仕事に慣れて休みがまともに貰えるようになったら一緒にサーフィンしようぜって約束をしたんだ。 結局、その約束が守られることは無かったけど。

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