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第2話

鉄平は高級マンションの最上階に来ていた。 チャイムを鳴らすとドアが開き、犬塚が迎え入れてくれた。 「タマ。入れ」 「おじゃましま~す」 病院を出た鉄平はまっすぐ家に帰る気になれず、竜蛇と犬塚の住むマンションへ向かったのだ。 竜蛇は仕事でいないが、犬塚はずっと自宅にいるからだ。 「わぁ。お腹おっきくなってきましたね!」 「……」 犬塚は複雑な表情で鉄平を見た。 犬塚もΩなのだ。しかも竜蛇の子供を妊娠している。 犬塚はゆったりとした濃紺のガウンを着ていた。安定期を過ぎて、お腹も目立つようになった。 竜蛇と犬塚は番なのだ。 互いが番だと分かってから、犬塚は首輪を外された。今は左手の薬指に指輪をしている。 もちろん竜蛇にしか外せない生体認証の指輪でGPS機能付きだ。 犬塚は妊娠してから、ほとんど外出していない。竜蛇が犬塚を外に出したがらないのだ。 始まりが監禁生活だったので引きこもる事には慣れているが、さすがに退屈だった。 だから鉄平や涼が訪ねてくる事は嬉しい。 「どうしたんだ? 急に」 「……あの」 犬塚は鉄平の前に紅茶のカップを置いて聞いた。 「俺……俺、Ωになっちゃったんです!」 「はぁ!?」 鉄平の言葉に驚いた犬塚が思わず間抜けな声をあげた。

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