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第4話
須藤に送ってもらった鉄平は門の前で立ち止まり、志狼と暮らす古い一軒家を見上げた。
志狼が祖父から受け継いだ家。
もうすっかり鉄平の帰る場所になった。
歳を取っても志狼と一緒にこの家で暮らしたいなぁ。
そんな事を考えながら玄関の引き戸を開けた。
「ただいま」
まだ志狼は帰っていない。
けれどいつものように鉄平は「ただいま」と言ってから家に入った。
鉄平は冷蔵庫を開けて今晩の献立を考える。
今夜の夕飯ら志狼の好物を作ることにした。もちろん鉄平の好きなだし巻き卵も作る。
「ただいま」
「おっ、おかえりなさい」
志狼が帰ってきた。いつものようにまずは鉄平にキスをして、テーブルの上のご馳走を見た。
「どうした? 今日は豪勢じゃねぇか」
「あの……俺……俺ね」
鉄平は志狼の腰にキュッと抱き付いて顔を隠したまま言った。
「俺、Ωだったんだ」
「あぁ!?」
「献血行ったら、血液検査で分かって……今日、お医者さんにΩだって言われた」
「……」
志狼が何も言わないので鉄平は不安になる。
「しろぉ?……わぁ!」
志狼は鉄平を抱き上げ、強く抱き締めて情熱的に口付けた。
「ん、……んぷはっ、しろう?」
「結婚してくれ」
「えっ? ええっ!?」
「タマ。俺と結婚しよう」
志狼は真剣な眼差しで鉄平を見つめている。鉄平は真っ赤になって、それから少ししょげた顔になった。
「でも、もし番じゃなかったら……」
「関係ない。お前が好きだ。お前と一緒に生きたい」
「しろう」
「俺と家族になってくれ」
「……うん」
志狼は嬉しそうに笑って鉄平にキスをした。そのまま床の間に運ばれる。
「あっ。ご飯は?」
「後でいい。抱きたい。抱かせてくれ」
「しろう……」
布団の上に横たえられ、志狼の逞しい体が覆いかぶさってきた。
「何があっても離さねぇからな。覚悟しとけ」
「うん。離さないでね」
そう言って微笑んだ鉄平のあまりの可愛いらしさに志狼はクラクラした。
「お前が好きだ。鉄平」
「俺もしろうが好き、大好き」
そうして互いの舌を絡めて甘い口付けをして抱き合い、ひとつに重なりあった。
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