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悪魔に拐われた2匹の子兎
神山は、虎視眈々とファッションショーが終わるのを今か今かと待っていたらしい。
「では結果を発表します。優勝はーー」
学園祭実行委員長の挨拶も、結果もろくに聞かず、僕の手首を鷲掴みすると、外に向かって歩き始めた。
「神山‼ちょっと待て‼何処にいくんだよ‼」
神山は答えなかった。廊下に出ると、ようやく離してくれた。
「痕、付いただろ‼少しは手加減しろよ」
「お前が嫌がるからだろ?」
「ちょっと~~‼‼お尻丸見えだから‼‼」
ふわっと体が宙に浮いて、そのまま肩に担がれた。お尻を撫で回す神山の手付きがいやらしい。
「心、折角のハロウィンだ。一緒にチョコを食べよう」
「はぁ⁉」
まずは着替えが先だろうが。
こんな恥ずかしい格好、いつまでも晒したくない。
「やぁだ、パンツ見えちゃう‼」
途中で、吉川先生と合流した。もう一人のバニーガールの子も一緒。
女の子みたいな甲高い声を上げ、僕と同じ様に肩に担がれていた。
「悪趣味にも程がある」
「乱交するわけでも、スワッピングする訳じゃないんだし、そう言わない」
神山と、吉川先生は不敵な笑みを浮かべながら、肩を並べて一緒に歩き出した。
そして、辿り着いたのは、保健室だった。鍵をしっかり施錠して、窓側のベットには吉川先生達が向かい、廊下側は僕と神山。
「カーテン閉めないでしようよ。ゾクゾクした興奮、味わいたいからさぁ」
「却下。うちの心は恥ずかしがりやなんだ」
神山が、淡いベージュ色のカーテンをさぁっと引いた。
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