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第8話 白羽side
「おい東堂‼ お前すげーな‼
バレーやったことあんの?」
「え?あぁ、小学生の時な。
事故に遭う前まではずっとやってたよ。
バレーって楽しんだぜ。」
でもやっぱりブランクは大きいな。
ネットは何十センチも高いしコートも広い。
ボールは大きく重たくなっていた。
正直肩が痛い。
明日は筋肉痛だな。
でも、バレーは楽しい。
絶対拾えないと思ったボールを拾ったとき。
敵陣地にボールが落ちた瞬間の喜び。
練習は確かにしんどいけど。
その先に得られる快感を俺は忘れてない。
でもそれを誰かに見せたい。
誰かに教えたい。
そんな気持ちもあの時まではあったんだ。
いや、今もある。
ただ、誰に見せたいのか、明確な相手が居たはずなのにそれを思い出せない。
父さん? 母さん? それとも弟?
違う。
そんな身近な存在なら記憶を取り戻した時点でこの感情も埋まるはず。
それがわからないってことは結局それも答えになってる。
きっと俺は
あいつに見てもらいたかったんだと思う。
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