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第12話 -白羽side-

(とき)はあいつが怪我する前に(さかのぼ)る。 「よっしゃー!」 「このまま優勝はいただくぜ‼」 俺たちのチームは決勝までこぎ着けてきた。 俺が球技大会でバレーにしたのは理由がある。 あいつのプレーを見てみたかったからだ。 理由としては単純過ぎるがそれでも俺が居なかった間のあいつを知りたかった。 あいつがバレーを始めた動機は 俺の事故が原因でストレスを感じると嘔吐を繰り返すようになってしまい少しでもそれをなくすことだそうだ。 所謂(いわゆる)ストレス軽減。 「…ぃ……っ…たってよ。」 「え⁉まじで…」 なんだか騒がしいな。 「おぃ。なんかあったのか?ザワザワしてるけど。」 「それがさ、さっき俺らの試合の前に黒田が怪我したって聞いてよ。左足を抱えて歩けねえぐらいで先生におぶられて病院に行ったって聞いたよ。」 「なんで?」 「え?なんで?って何が?」 「なんで怪我したんだって聞いてんだよ」 「あぁ、ネット際で飛んで相手の足を踏んだとかどうとか…。だいたいなんで踏んだ方が怪我するんだかね…。 痛いのはむこ、ウグ‼」 「てめぇ、なんもふざけんなよ。」 「は?何が。つか、首もと離せよ」 「てめぇは、飛んだ後に石の上に着地するより、まっ平らなアスファルトに着地する方が怪我するのか? そりゃよっぽど変な飛び方したんだろうな。 普通に考えて足元が不安定な方が怪我するだろうがよ‼」 なんもわかってねぇ。 バレーを甘く見んじゃねぇ つうか、スポーツを甘く見んじゃねぇ。 「二人とも喧嘩は辞めなよ。」 「あ?女は割ってくんな。何があったか知らねぇけどクラスのやつが怪我してんのになんで誰も他人事なんだよ。」 「その事なんだけど、実は…」 「は?じゃぁ誠の怪我はわざとか? 仕組まれたって訳?」 「うん。直接は聞いてないからなんとも言えないけど確かに聞こえたの。私もさすがにやり過ぎじゃないかなって思ったけど言い出せなくて…」 「くそ!」 「あ、ちょっと白羽君!試合わ⁉」 「んなもんやってられか‼このゲスどもが‼」 そう吐き捨てて俺はあいつを探した。

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