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第16話
「落ち着いたか?」
「うん。本当にありがとう。」
僕は何時間泣いただろうか。
気が付けばもう23:00になっていた。
最後の方はなんで今泣いているのか分からなくなるぐらい泣いていた気がする。
「さて、お前も泣き止んだみたいだし、帰るわ。」
「え?今から?無茶だよ。もう電車も通ってない。それに白羽の家はここから歩いたら日が回るよ。」
「そうは言っても親心配するし。」
「こっちからすればこの時間から一人で帰らせる僕が心配だよ。」
「そうかも知れねぇけど…」
「電話して泊まるって言いなよ。」
「…」
「ね?」
「わかったょ。」
渋々承諾する白羽が可愛い。
「電話したら良いってよ。
まぁ、言うのが遅いって怒られたけど。」
「ごめん。でも、なんか嬉しい。
恋人とお泊まりデートみたい。
あ、でも今は恋人じゃないや。ごめん。」
「何一人でぶつぶつ言ってんだよ。
というか前から思ってたけど、散々俺の回りを付きまとって去り際に実は恋人だよとか言ってじゃぁばいばいとか勝手すぎんだろ。
訳わかんねぇこっちの身にもなれよ。
俺はやっと見つけてここまで来たのに。
誠のこともっと知りたいのに。」
「…。僕これ以上泣きたくないよ?」
「そこは素直に泣いとけよ‼」
「あ、いや、ごめん。」
白羽のことになると本当にわけわからなくなる。
「ったく。なんでこんな女々しいやつと付き合ってたのか。」
「僕としてはそこを彼氏の腕の魅せ所として頑張って貰いたいけどね。」
「無茶言うなぁ…」
「あ、お風呂入るよね?寝る準備するから先に入ってて」
「あ、ありがとう。じゃお言葉に甘えて。」
時刻は23:20頃。
僕らの1日はまだここから。
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