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第23話
僕は松葉杖を使って白羽と一緒に外へ出た。
家を出る前に一応と思って学校に電話したら先生には安静になって釘を刺された。
白羽はこっぴどく怒られちゃって反省文をちゃんと提出する事を宿題として仮病を使いながら休んだ。
「白羽は何悪いことしたの?反省文なんて。」
僕は無理矢理学校を抜けだしたのだろうと大体の予想をしていたが聞いてみた。
けれども白羽は別にと言って答えてはくれなかった。
「ところでどこ行く?その足だし限られるかもしれないけど。」
正直僕は何も考えてなかった。
物欲もない。
「そうだ!じゃ、映画見に行こうよ!
椅子に座るしそれなら大丈夫じゃない?」
正直座るからというよりデートといえばとの発想だった。
「いいな!じゃ、そうするか。」
そうと決まればというふうに僕達は映画館のあるショッピングモールに向かった。
* * *
「・・・・・・。」
僕達は映画を見ている。
アクションでもホラーでもない。
「頼む…もう、どこにも行かないでくれ。俺のそばにずっといてくれ‼」
「もう、私はどこにも行きません。今までも、これからもあなたのそばにいます。」
映画の決め台詞が流れた。
どの映画がいいかわからずに時間に合う作品を選んだらちょっぴり切なくもハッピーエンドを迎えた甘々な恋愛ドラマだった。
その場で決めたものだったから接客の人に不思議そうな顔で、それでも何かを察したかのような接客販売をされた。
鈍感な白羽はなんか妙な反応だなって言ってたけど
僕はいたたまれなかった。
このシーンになってようやくわかったのか暗い中でも顔が赤くなるのが僕には分かった。
「やっぱり、男と女だよな…」
「え?ごめん聞こえなかった。」
白羽が何か言ったように思えたが、
映画の音で何を言ったのか聞こえなかった。
白羽も僕の問いかけに聞こえなかったのか前を向いたままだった。
映画の内容は付き合っていた彼氏が事故にあい記憶喪失になる。彼女は彼氏に冷たくされ続けたが彼氏の為にずっと尽くしていた。
ある時、彼女が車の事故に巻き込まれ意識不明になるがその時に彼氏は記憶を取り戻し、彼女も意識が戻る。
そしてお互いにまた愛し合うという内容だった。
ノンフィクションらしいのだがとても現実味がなかった。
なぜなら今現在の僕達とは似て非なるものだったから。
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