2 / 15
第2話
あの人は背が高いから、きっとすぐ見つかると思っていたのに。いくら探しても見つからない。
そこでふと、ひと気のない児童館の方に目をやった。もしかしたら、中にいるのかもしれない。
ちょうどいい、少し肌寒くなってきたところだ。優希は出店が並んでいる児童館の表ではなく、児童館の中を探すことにした。
建物の中は外の喧騒とは正反対に、とても静かだった。それに暖かい。優希は「ふう」と小さくため息をつくと、早速人探しを再開した。
「もしかして、まだ仕事してるのかな」
そう思い、入ってすぐ、右手にある事務室をちらりと覗けば、思ったよりも早くあの人が見つかった。外のハロウィンパーティーなんてまるで興味がないかのように、真剣にパソコンに向かって何かを打ち込んでいる。
こんなに楽しい夜だというのに、どこまでも真面目な人だ。
がっしりした体格でちょこちょことキーボードを叩く姿は、ちょっとだけ面白かった。
「パパ!」
呼びかけると、その人はすごく驚いた顔で口をぱくぱくさせていた。
探していたのはこの人。優希の実の父親である、橘誠一郎(タチバナ・セイイチロウ)だった。
ともだちにシェアしよう!