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第2話

 あの人は背が高いから、きっとすぐ見つかると思っていたのに。いくら探しても見つからない。  そこでふと、ひと気のない児童館の方に目をやった。もしかしたら、中にいるのかもしれない。  ちょうどいい、少し肌寒くなってきたところだ。優希は出店が並んでいる児童館の表ではなく、児童館の中を探すことにした。  建物の中は外の喧騒とは正反対に、とても静かだった。それに暖かい。優希は「ふう」と小さくため息をつくと、早速人探しを再開した。 「もしかして、まだ仕事してるのかな」  そう思い、入ってすぐ、右手にある事務室をちらりと覗けば、思ったよりも早くあの人が見つかった。外のハロウィンパーティーなんてまるで興味がないかのように、真剣にパソコンに向かって何かを打ち込んでいる。  こんなに楽しい夜だというのに、どこまでも真面目な人だ。  がっしりした体格でちょこちょことキーボードを叩く姿は、ちょっとだけ面白かった。 「パパ!」  呼びかけると、その人はすごく驚いた顔で口をぱくぱくさせていた。  探していたのはこの人。優希の実の父親である、橘誠一郎(タチバナ・セイイチロウ)だった。

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