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第14話
「待って、パパ……っ、あ…!」
だが、気持ちだけが逸って足腰が立たず、床に崩れ落ちてしまった。異変に気づいた誠一郎はすぐに優希のもとへ駆け寄り、抱き起こす。膝を打った優希は痛みに顔をしかめていた。
「まったく。無理はするんじゃない」
「だって……一人になるのがいやだったんだもん……」
「仕方のない子だな。じゃあ、これで少しの間だけ待っていてくれ」
急に後頭部を捕らえられたかと思うと、唐突に貪るような口づけが始まった。舌を絡め取られ、吸い付かれ、激しさのあまり意識が遠のいてしまいそうだ。呼吸が苦しくても逃げることはできない。次第に頭の中が甘く痺れてくる。
「んんぅっ……ふっ、う……っ」
「――愛してるよ、優希。言葉では言い尽くせないほど、お前を愛してる」
唇が離れると、今まで聞いたこともないような熱っぽい声で囁かれた。嬉しくて、これ以上ないほど幸せで、優希はたまらず誠一郎に抱きついた。
「僕も……! 僕も、パパを愛してる……!!」
誠一郎の逞しい腕が優希の華奢な身体を受け止める。二人はしばしの間、戯れのようなキスを繰り返し、永遠のような幸福な時間を共にした。
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