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俺は何故か男にモテる。どちらかと言うと中性的な顔立ちのせいか、物心ついた時からずっと男にまとわりつかれていた記憶しかない。
小学校の劇ではヒロイン、中学校の文化祭ではメイド喫茶のキャストでトップになり、高校の文化祭では女装コンテストで優勝。おまけに大学のサークルでも一発ギャグと称して女装させられ…。
思い出しただけで鳥肌が立つ。気持ちを切り替え、さて仕事だと頭 を一つ振って店内を見渡す。
(うわ、あ…すっげぇ…)
いつもならぼんやりと彷徨わせる視線が、今日はピタリと一箇所で止まった。さっきまでもう男は散々だと思っていたにも関わらず、釘付けになったまま動けない。
スッと通った高い鼻筋に、彫りの深い顔立ち。ミルクティー色の髪はあまり傷んでいないように見えるし、幾重にも複雑に重なった虹彩の瞳はもしかして裸眼なのだろうか。だとしたらハーフの可能性も…。
とにかく俺が今まで見てきたホストの中で段違いのイケメンだった。綺麗すぎて中性的ですらある。
「あ…お、お預かりします…」
その人は腕を絡める化粧の濃い女性を優雅にエスコートしつつ、俺のレジへカゴを置いた。
「…お会計が1628円、になります」
俺の言葉を聞いて手元の財布を確認する様子をじっと見てしまう。伏せられた睫毛の色も薄く、隙間なく目を覆うそれが目元に影を落としていて、漏れ出す色気に思わず息を呑んだ。
「あ、良いよ~これくらい私が出すって!」
「そう…?」
女性が置いた代金を慌てて受け取り、お釣りを渡す。
「…ありがとう」
「んもう、全然良いのに!ルイのためならこのくらい平気だよ~」
お釣りをしまう女性にではなく、何故かこちらを向きながら零した声も期待を裏切らずといった印象で。
俺を見て僅かに細められた深い瞳は、やっぱり綺麗だった。
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