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「あの2人以外をイケメンって言うならお兄さんちょっと納得できないですよーって」
浮かぶそれは間違いなく笑顔で、声のトーンだって明るいものなのに。瞳の奥は冷えきった氷のようだ。
「…ハルさんも、恰好いいと思います」
早く普段の彼に戻って欲しくて、思わず本音が口をついて出た。
「ふはっ、芹生くん言ってくれるね~嬉しいよ!」
がばりと肩を抱き寄せられて、硬直してしまう。先ほどまでのひんやりとしたオーラはまるでなく、いつも通り。嬉しいやら恥ずかしいやら…。誤魔化すように慌てて声を掛けた。
「え、っと…あの、ルイさんとは…お知り合いなんですか?」
「グランジュエルのルイとなら仲良くさせてもらってるよ。長い付き合いでね…そういやここのコンビニ来てない?」
グランジュエルのルイ、は1人しかいないはずだ。
答えようとした矢先、
「…て、いうか。そのイケメンホストってルイのこと?」
答えを聞いていないのに確信しているような口ぶりで。こくりと頷くと頭を撫でられた。
「なるほどな…まあこれからも仲良くしてやってよ」
作業中断させて悪かった、と戻っていく彼にお仕事頑張ってください、を伝える。
そういえば…また、言いそびれてしまった。
春休みが終わるまでに、ハルさんにもう一度会えるだろうか。
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