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21.

なんで、ここに―――。 この時間はいつもバイト中のはず。 早上がりしたのか、いや…そんなことよりも。 今までだって女の子を連れている場面は見せていた。毎回変わる顔ぶれに最初は驚いた様子だったが、そのうち慣れたんだろう。その表情からは特に何も感じられなくて。 なのに、今はどうだ。 すっと細められた目。それだけで普段の彼からはかけ離れているというのに。瞳に宿るのは明らかな『拒絶』だった。 顔が、全身のオーラが、俺の知っている彼ではない。今、きっとその心は静かに憤りの炎を燃やしている。 なぜ?何が彼をここまで追い込んだ? 声を掛けることもできずに立ち尽くす俺の横を通り過ぎて、雑踏に消えた姿。 「ん?どうしたの?」 問われて力なく首を振る。まともに思考が働いていないのに、答えが見つかるわけもなく。 ただ―――とても、嫌な予感がした。

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