25 / 330

25.

4月。新学期が始まる前に、メールアドレスを変えた。今はLINEが主流だから、あまり使うことはないだろうけど。 少しでもあの人に関わったら、みっともなく取り乱してしまいそうだから。念の為に。 「今年もまた同じクラスかよー!」 「そりゃこっちのセリフだっての…」 掲示板に貼り出されたクラス分け通知。 軽口を叩きあって笑う。 「ま、よろしくな」 「仕方ねえからよろしくしてやるか~」 連れ立って食堂へ向かう。 「そういや芹生、あんまりスマホ見なくなった?」 食券を買ってトレーを持ちながら列に並ぶ。 不意に聞かれて、胸の奥が軋んだ。 「ん?うーん、まあ…そうかも」 曖昧に笑う俺を、細田はどんな目で見ていただろうか。 昼食を済ませ、コースのガイダンスがある彼と別れた。 (図書館で寝るか…) 思いつきで足をそちらに向けると、何やら人だかりが。図書館でガイダンスはないはず…と首を傾げながら近寄る。 (………え、) 図書館棟の横、正門付近に溜まっているのはほとんど女子。その中心に、頭二つ飛び出た美貌の持ち主が。

ともだちにシェアしよう!