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「ふうん…なるほど、な」 俺の膝に乗るミウを見ながら、ハルが呟いた。 「…なあ、芹生くんといつ知り合った?」 「2月中旬…ぐらいかな」 俺の答えを聞いた彼は無言で指を折る。言いたいことは痛いほど分かるから、そんな目で見ないでほしい。 「………お前ってそんな慎重派だっけ?」 静かに頭を抱える。自分でもどうして良いのか分からないのだ。 今までそれなりに女性と付き合って来たし、言ってしまえば夜の相手にも困らなかった。だが、それのどれも、相手から請われて共に過ごした時間で。 「多分、本気なんだと思う…」 だからこそ、選択を間違えたくない。 強く拳を握りしめる俺に気を遣ったのか、煙草を片手にベランダへと向かうハル。 しばらくその背を見つめてから、ふらりと後を追う。そのまま隣へ。 「…ん?」 柵にもたれ掛かって紫煙をくゆらす彼を見上げた。胡座をかいたまま、無言で手を差し出せば、煙草の箱とジッポが降ってくる。 「火、点けてくれないんだ」 「はは、キャバじゃねえんだから」 沈黙の中でひとしきり煙草を縮めて、灰皿代わりになるものを取りに部屋へ戻った。 「あー……も…し?俺…けど、……えて……か?」 ベランダの彼はどうやら電話中のようだ。断片的に聞こえる声からは何も読み取れない。 そろそろ吸い終わる頃だし、携帯灰皿なんてものは持っていないだろう。だから置くだけ。うん、別に話が聞きたいとかじゃない。 そっと近づいた、瞬間――― 「……ん、芹生くんに言っておいて」 カラン、とアルミ製の皿が転がった。

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