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34.
「…取りあえず、着替えてくるから。これ飲んで待ってて」
ソファーに座る俺にそう言い残して、扉の向こうへ消えた彼。
駐車場で会った時よりも痩せたような気がする。
(やつれた、っていうのか…?)
出されたカフェオレを見つめながら考えていると。
「みゃーお」
可愛らしい声が聞こえた。
斜め下を見れば、蜂蜜色をした宝石のような瞳と目が合う。
撫でてみたいが、安易に手を伸ばして良いのか悩んで。
そろそろと伸ばしては引き、を繰り返していると扉が開いた。
「お待たせ。あ…猫、平気?」
頷く俺に良かったと呟いてから、向かいのソファーへ座るルイさん。
口元を覆うように手を広げ、肘を膝に乗せて少し前のめりになったまま目を伏せる。
彼が取る行動はそれだけで芸術のようだ。
一旦は落ち着いた鼓動が、また速さを取り戻す。
「で…話っていうのは、」
「…あ、の!」
言葉を遮る俺を見るためか、ゆるゆると上がった瞼。正面から見るにはまだハードルが高く、テーブルに置かれたカフェオレを見つめながら口火を切った。
「先に、謝らせてください。この前の、駐車場で…」
声が震える。
やっぱり何でもないと口走ってしまいそうだ。
でも…今、言わないと。
「本当に、すみません、でした…」
語尾は小さくなってしまったが、つっかえながらも何とか言葉にできた。
そろりと顔を上げると、虚をつかれたように目を丸めるルイさん。
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