38 / 330
38.
やっぱり俺の予想は当たっていた。こんな時ばかりは自分の観察眼に感謝せざるを得ない。
贔屓目抜きにしても綺麗な顔立ちをしていると思う。傷みのない艶やかな黒髪、くっきりした二重。鼻筋だって通っているし、肌は抜けるような白さで。唇は俺と反対のふっくらした桜色だ。
正直なところ、俺だって初めは外見に惹かれた。それは認めよう。ただ、芹生くんがもし違う風貌だったとしても、その気持ちはきっと変わらないと今なら言える。
「…話してくれてありがとう」
くしゃりと頭を撫でる手を受けて、緩く微笑む面差しは、やっぱり美しくて。
「これから…俺に、もっと芹生くんのことを教えてくれますか?良い部分も、悪い部分も全部含めて。すごく、知りたい」
そして、いつか。彼が自分の容姿と、過去から続く痛みに向き合って、認められる日が来れば良いと、思う。
願わくば隣に居るのが自分でありますように…と祈りを込めて、彼の両手を取った。
「俺と、友達になってください」
赤くなってしまった目を見開いて、視線をあちこちに投げる様子を辛抱強く見つめる。
「あ、の……はい…よろしくお願い、します」
今日。曖昧だった俺達の関係性に、名前が付いた。
ともだちにシェアしよう!