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「他にもハンカチはあるから、大丈夫でしたけど…でも、なんで…?」 横に座って嘆息する。今から話そうとしていることは、良い歳をした大人の不甲斐ない一面だ。弱い部分を晒すのは勇気がいるし、何より恥ずかしい。 「…それを、返したら」 俺を見つめる視線に応えないわけにもいかず。反対を向いてなんとか声を絞り出す。 「君との繋がりが…切れるんじゃ、ないか…って」 無言が続く。ちらりと隣を窺えば、彼は見事に口を開けて固まっていた。 「………ルイさんって」 可愛いんですね、と。 良く分からないが、ふわふわ笑う芹生くんには言われたくない。予想外の反応に、何だか肩透かしを食らった気分だ。

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