40 / 330
40.
「他にもハンカチはあるから、大丈夫でしたけど…でも、なんで…?」
横に座って嘆息する。今から話そうとしていることは、良い歳をした大人の不甲斐ない一面だ。弱い部分を晒すのは勇気がいるし、何より恥ずかしい。
「…それを、返したら」
俺を見つめる視線に応えないわけにもいかず。反対を向いてなんとか声を絞り出す。
「君との繋がりが…切れるんじゃ、ないか…って」
無言が続く。ちらりと隣を窺えば、彼は見事に口を開けて固まっていた。
「………ルイさんって」
可愛いんですね、と。
良く分からないが、ふわふわ笑う芹生くんには言われたくない。予想外の反応に、何だか肩透かしを食らった気分だ。
ともだちにシェアしよう!